Z400LTDの高回転域の吹け上がり不良が治りました。原因はこれ↓

高回転の吹け上がりが悪い。5000回転以上にエンジンが吹け上がらない。

もうこの状態はいつから続いていたのか、思い出せない状態になりました。

少なくとも1年位は続いていたと思います。

 

せっかくエンジンO/Hして、ボアアップもしたのに、100km/hまでヒーコラ言いながら加速する感じ。

5000回転くらいまではすんなり加速するけれど、そこからピタリと回転の上がりが悪くなり、全然スピードが出ません。

O/H前のほうが絶対的にパワーを感じていました。

 

 

いろいろ調べて、たくさんの人にアドバイスを貰って、ケミカルや部品代などもそこそこお金をかけて、

それでも直らなくて。

一度は改善した感じになるけれども、コンビニでコーヒー買って帰る段になるとまた調子がもとの悪い状態にもどったりとか、

そういう事を何度も繰り返しました。

ひどいときは最高速度が40km/hくらいしか出なくなったり、エンジンかからなくなった事もあります。

流石に売り飛ばすとまでは行かないものの、なんかもう面倒くさくなってきた事もありました。

 

そういった出口の見えないトンネルの中で、試行錯誤を繰り返して、やっと修理が完了しました。

 

不調の原因

今回不調だったのはバキュームピストンでした。

外観から明確な判別はできないものの、おそらくバキュームピストンのダイヤフラムが経年劣化し、伸びたり癖がついたりして受圧面積が変化。

正常にピストンが上下ストロークせず、高回転域で正しい燃料が供給できなくなっていたものと思います。

 

バキュームピストンは3年前にエンジンをO/Hしたときに、

多少劣化しているけれど、まだまだ使えると思います。

というコメントをGメカさんに貰って、使いまわしていた部品でした。

ただその後ゴムにクラックが入っていたり、癖がついてしまったりしたみたいです。この辺のパーツの見極めは本当に難しいんだと思います。

 

カワサキの供給体制は素晴らしく、なんとか新品がまだ手に入ったので、購入して交換することができました。

 

 

長引いたトラブルシュート

とまぁ文章でかけば、「なるほどね」という理屈なんですが、ここまでたどり着くのに本当に時間とお金を要しました。

ほんといろんな事やったんです。

 

 

まずはケミカルでお茶を濁したい

WAKO’S(ワコーズ) NEWフューエルワン F-1 FUEL-1 200ml 2本セット
ワコーズ(Wako's)

まずはフューエル1を少し入れて燃料系統を洗浄。一瞬良くなった感じがしたけれど変わらず。

 

燃料系?

燃料コックが燃料をうまく供給できてないんじゃないか?と思ってコックもオーバーホール。

Z400LTD/Z400FXの燃料コックの分解・オーバーホールをしました

 

 

電気系?

高回転だけが調子が悪い、そしてこれまであんまり触れていなかった部分ということで、電気系統を疑いました。ポイントとか進角装置、コンデンサですね。

その周辺は原因でなかったものの、お世辞にも良い状態ではなかったので、今回交換できたのは良かったと思っています。

 

 

どちらでもない。直らない。

そこからは、サービスマニュアルのトラブルシューティングとにらめっこです。

 

  • プラグは多少劣化はしているものの新しいものに変えた。
  • IGコイルはASウオタニに交換していて、故障は否定できないけれど当時物の中古部品ではないのでとりあえず後回し。
  • 進角装置も取り外して、清掃とグリスアップは実施。進角自体はタイミングライトで確認して正常

ASウオタニのパワーアンプコイルキット取付編

 

 

  • キャブのジェット類の詰まりなどは無し
  • エアクリーナーボックスも清掃して、フィルターエレメントなども大丈夫
  • 油面レベルも問題なし
  • 各種ホルダーやインシュレーターの緩みもなし

Z400LTDの湿式フィルターの洗浄と給油(2ストオイルを使用)

 

 

  • 圧縮関係はゲージを持っていないものの、3年前にO/Hしたことからおそらく大丈夫。
  • それに低回転ではしっかり走るし、気になる異音もしないのでとりあえず後回し。
  • プラグも新品交換して、しっかり気密性も確保されている。
  • ※ブリスクプラグはASウオタニと相性が良くてめっちゃよく燃える。トルクが上がる。最高に気持いい

 

 

んでその他のところに出てくる、「バキュームピストンダイヤフラムの損傷」が今回の原因でした。

子供の面倒見ながら、お休みでもバイクと向き合う時間がなかった中で、バイク屋さんへの持ち込みをせず解決できたこと。

これは本当に自信に繋がりました。

 

 

交換部品と交換作業

バキュームピストン自体、1個2万円☓2個使いということで購入に踏み切れずに居ました。

Z250FTと同じバキュームピストンがリプレイスパーツ指定されていたのを発見。

こっちは1個1万2千円程度と若干安かったので、購入を決断。

メーカー取り寄せパーツだったのですが、3日程度で届きました。

 

ただこいつを買ったおかげで、今夏のヘルメット新調はお預けです。

 

 

やはり樹脂もゴムもピカピカです。非常に気持いい。

 

キャブの一部分解をしましょう

それでは作業開始です。

まずタンクを外します。

バキュームピストンはトップカバーを外すだけで取り外しができました。

 

外に張り出している側のネジはかんたんに外れます。

ただ内側のネジは微妙に力がかからずなめてしまいそうな位置。

 

↑こいつを使って1発目の緩みトルクだけ与えて、あとは#1の細長いドライバーで緩めていきます。

 

キャブ全体を外さなくてよかったので本当にありがたかったです。

外すのはいいけれど取り付けが本当に難儀で、二度とバラしたく有りません。

こじりまくって入れていたら、エアクリーナーボックス側のインテークが壊れてしまいそうだったし・・・(汗

 

バキュームピストンが出てきました。

バネが入っているので飛び出しに注意。と言ってもそんなに強いバネでは有りません。

 

 

以前分解したときにダイヤフラムに亀裂が入っていたので、念の為補修していた痕。

乱暴。雑。付け焼き刃。

これでもとりあえず走るから、古いバイクってすげえな。

 

 

ピストンを取り外しました。ジェットニードルが取り付けられているのが中古品。左が新品です。

新品と比較するとよく分かるんですが、樹脂部の色も違いますし、シワの付き方もだいぶ違います。

 

サークリップが外れない

 

先日購入したサークリッププライヤーなんですが、ピストンが深すぎて爪がクリップに届かず、はずれないことがわかりました。

図の10番のサークリップを外したいんですが、13番のピストンのだいぶ奥まで工具を突っ込まなければならず、プライヤーの根本がボアに干渉して入らない。

 

・・・・なので朝7時から開店しているカインズホームの工具売り場に向かい、使えるサークリッププライヤーを買いました。クソっ!

 

これ。

コイツ、今日以降のこの先2年くらいは1回も使わない自信があります。絶対に使用頻度低いやつだ。

 

でも買わないと修理できません。悲しいけど買いました。

 

そのおかげで外れました。

コイツでもちょっと爪が引っ掛けにくい構造になっていて、結構外しにくかったんですけどね。

 

ジェットニードルはキースター(岸田製作所のリプレイスパーツ。純正はとっくの昔に廃盤です。

岸田さんでも半受注生産のようで、納期に結構時間がかかった記憶があります。

でも、こんなドマイナー車種用を作ってくれるだけでまじありがたいです。

 

↓過去にこのキットについて書いた詳細記事

Z440LTD用のジェットセット 岸田精密工業さんの燃調キット

 

 

プラスチックのゼビウスに出てくる敵キャラみたいなのは、ニードルジェットを抑える樹脂です。

これをサークリップで抑えます。

裏表が存在しない、非常に優秀な設計をされています。

 

 

そしてこれらのパーツを、先ほどと逆の手順で新品に入れ込んでいくのでした。

 

 

組付け完了

先程の逆の工程を実施し、

  1. バキュームピストン取り付け
  2. カバーの装着
  3. タンクの設置
  4. 燃料ホースのコックへの取付
  5. タンクの固定

 

とやっていきましたら完成です。

無事にもとに戻すことができました。

 

燃料コックをPRIにして、ガソリンを強制供給。チョークを引いてエンジンを掛けると、非常にすんなりエンジンが掛かりました。

すごくアイドルが安定しています。もうこの段階でなにかエンジン音が軽いです。

良い兆候です。

 

 

 

試走

めっちゃ良かったです。

5000回転以上の引っ掛かりがなく、トルクピークにむけてどんどん回転数が上昇し、それに伴って車速もグイグイ乗っていきます。

 

直りました。

 

じんわり来ました。

あー長かった。良かった。

深ーい呼吸とともに安堵感が広がっていく感じ。

 

イヤッッホォォォオオォオウ!!!!

って感じじゃなかったですね。まず一発目に感じたのは、しみじみとした喜びでした。

 

その後にスロットルをパカパカ開いて閉じてを繰り返して、初めてニヤつきながら「これこれこれー!」って感じの愉快さがやってきました。

 

おそらくエンジンの始動性も改善した感があったので、おそらく低回転域も反応が良くなったようにも感じられました。

全域的にダイヤフラムの影響が悪い方に出ていたのだと思います。

ピックアップが良くなった感じがします。

 

タイヤに燃料系に点火系にと色んな調整をやって、最後のバキュームピストンで全部線でつながって改善したような印象です。

 

 

まとめ

ようやっと本調子になったこのバイク。

この状態を維持するように努めながら、朝方などを中心にストレスフリーでどんどん走っていきたいです。

 

以上です。

 

 

 

2 件のコメント

  • 旧車維持メンテは、この「ジワ~」が癖になっていくのです。(笑)そのうち、「これがダメだから、そろそろあそこか?」ってなっていくと思います。あきらめないで、付き合っていくのも楽しいですよ。最後の砦は、お店がありますしね。私も、しばらく維持していきますよ~。

    • お世話になります。
      ほんと、麻薬みたいなもんですねあの感情は(使ったことは無いのでわかりませんが)。
      やりきった感覚は何事にも代えがたいです。

      旧車といえど、メカ的に思い切りだめになることは案外少なくて、部品交換やちょっとした調整でもだいぶ維持はできるんだなと最近感じるようになりました。
      まぁそんな事考えていたら手痛いしっぺ返し食らうかもしれませんが。

      最後はお店が有るので、というのはまさにそのとおりですね。
      こういうご時世とはいえ、最近お店もあまり顔を出せていないので、挨拶に回りたいなぁと思っています。

      今後ともよろしくおねがいします。

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