Z400LTD/Z400FXの燃料コックの分解・オーバーホールをしました

 

もうかれこれ1年以上前から、Z400LTDのエンジンの回転の上がりが悪いというトラブルに見舞われていました。

8000rpm以上がレッドゾーンにもかかわらず、5000回転以上に到達できず、最高速度が100km/h以上出ないんです。

先日は、とうとう4000回転までしか回らない状態になり、80km/hくらいがMAXになっていしまいました。

 

 

エンジンの状況

2年前にエンジンオーバーホールをし、慣らし運転もとっくに完了。
その後しばらくは、ビュンビュンエンジンが回っていました。快調そのもの。

不調になった後は、

  • フューエルワンを入れて燃料経路を洗浄
  • 点火時期を確認
  • バッテリーも新品交換。
  • キャブ洗浄のセッティング実施 →弄る前の初期設定が一番良かった。
  • エアフィルターも確認し問題なし。
  • プラグも新品に交換

 

と一通りやったんですが、全然だめ。

 

 

もう何だろうこれは?と頭を抱えていた、その時、

これ、燃料がちゃんと供給されていないんじゃないのか?

とひらめいたんですね。

 

 

エンジンは普通に始動して、低回転域は全く問題なく走るけれど、高回転にならない。プラグもちょっと白い。

燃調とかその前に、もっと大本の部分。燃料の供給を司っている部品。

 

燃料コックが怪しい。

 

そう思ってコックをよく見てみたら、コックから微妙にガソリンが漏れてきていました。

んじゃあ、ここをオーバーホールしてみよう。

というのが今回のお話です。

 

燃料コックの取り外し

 

※Z400LTDの燃料コックはZ400FXのE2~E4と同じタイプです。2気筒も4気筒も同じですね。
なので検索用でタイトルにもZ400FXの名前を入れています。

で、完全に当時と同じ物は、既に廃盤となっているようです。

PMCなどのリプロ品も、負圧ホースの取り出し口の向き違ったりするようなので、オーバーホールを選択しました。部品もパッキン代だけで済みますから。

 

燃料コックを取り外すには、まずタンクを少し上げる必要があります。

シートを開いて、タンクの後端に有るボルトを10番のソケットレンチで外します。

 

使わないタオルなどをタンクに挟んで、少し持ち上げると次の作業がしやすいです。

 

上が負圧吸引系のホース。下が燃料供給系のホースです。

これのホースバンドをプライヤーなどで外します。

※ちなみにエンジンオーバーホールしたときに、当時のTRカンパニー(現CLASSIC CYCLE TOKYO)の後藤メカに新品交換してもらっていました。
 きれいなホースは嬉しいです。

 

 

タンクが外れたらひっくり返しまして、コックを外しにかかります。

 

プラスドライバーで簡単にネジが回りました。

良かった、見た目ほどネジ山は錆びてない。

 

固着もなく簡単に外れました。

 

完全に分離した燃料コック。

嬉しかったのは、インナーストレーナーがとてもきれいだったこと。

経年劣化でグニャグニャになったり、網目がぶっ壊れてゴミ取りネットの機能を果たしていない事も結構あるみたいなのですが、こいつは大丈夫でした。

 

 

コック本体の分解開始

一旦部屋に戻り、燃料コックの分解です。

汚さないように床にダンボールを敷き、部屋中の窓を明けて作業しました。

パッキン類も取り出します(ページの後の方に、使ったパッキン類のリストを載せておきます)。

 

パーツリストを熟読し、事前に構造を把握しておきましょう。

まぁシンプルな構造ですね。ただ事前に脳内に構造をイメージできている事は大事だと思います。

 

表側の分解

まず表側のRES/ON/PRIと書かれているプレートを外します。

これもドライバーで簡単に外れました。

 

なんか板バネみたいなのが出てくるので、外して保管しておきましょう。

 

コックのレバーを上に引き上げると、簡単に外れました。

多少ヘタっている感は有るものの、ゴムの弾力はまだまだ残っているような印象。

 

下には燃料流路をカバーする5つ穴が空いたゴムパッキン。

これ非常に良い状態で、全く劣化を感じさせませんでした。交換不要じゃないの??と思うくらい。

 

マイナスドライバーで少し引っ掛けて外します。

 

裏側の分解

次は裏側です。

TAIYO GIKENと書かれている側のプレートについている、四本の皿ネジを外します。これも全くかじりなしでした。

 

ダイヤフラムがお目見え。

これは見るからに劣化しています。

「基布(きふ)」という薄い布にゴムを貼り付けてあるのですが、端っこがほつれていて、真ん中もなにか膨らんでいます。通常はフラットに近いはずなのに。

 

反対側を見ていみると、明らかに段がついていますね。

左が新品で、その差は明らか。

当初予想していた通り、「ダイヤフラムが経年劣化で変形して、燃料を送り出す機能が低下していたのではないか?」という線が濃厚になってきました。

 

とりあえずここまでで分解は終わったので、次の工程に移ります。

 

 

ボディの洗浄

燃料コックのボディを洗浄します。

キャブクリーナーに浸け置く人も多いようですが、こびりつくような汚れは少なかったので、今回は「中性洗剤+歯ブラシでゴシゴシ」を選択しました。

それでもかなりキレイになりました。

 

真ん中の通路内も、特に損傷なくきれいな状態です。

 

まぁこのくらいまで洗浄できれば十分でしょう。

 

再組み立て

O-ringの挿入の際には、このシリコーンブレーキグリースを少量付けて挿入しました。

シリコーンは耐ガソリン性もあり、熱にも強いのでゴムが長持ちします。

これ高いですが、もう10年以上前に買ったものがまだ残っていました。殆ど使わないのよね…。

 

使い方としては小袋に少しだけ入れて、

 

O-ringを入れてもみもみします。

これでO-ring全体にグリースが塗布されます。

上の画像の量でちょっと多めくらいでして、表面がちょっとだけ白くなるくらいの塗布量でOKです。付けすぎたから良いというわけでもありません。

 

これをやることで、O-ring組み付け時の引っ掛かりや傷が防止され、組み付け時もよじれたり摩耗したりしにくくなります。

 

部材の装着

ダイヤフラムをボディに装着。

ダイヤフラムの樹脂ボティに2箇所の突起があり、位置を合わせないと装着できないようになっています。

うまく位置合わせして、上にスプリングを載せます。そして蓋をネジ留め。

 

5つ穴のガスケットを入れ込みます。

指で押し込むだけですんなり入りました。

 

O-ringを装着したレバーを差し込み、その後板バネを装着。

最後に位置合わせのプレートをはめ込んで、2本のビスで固定します。

 

簡単に元通りになりました。見違えるようにキレイです。

 

 

車両に装着。そして始動

タンクと燃料コックの間のパッキンをコックの溝に装着し、タンクに戻します。

LTDに乗せて、ホースを元通りに装着し、いざエンジン始動。

問題なく始動しました。

 

 

いや、問題なくというよりなんかエンジンの爆発が力強い感じがします。

 

軽く暖気をした後、ウォームアップ運転をしながら、郊外の田んぼの道に頭を向けます。

そこでスロットルを大きめに開くと、、、、

 

回転が上がる!

6000回転以上まで回る!

 

やっぱり燃料コックの不具合だったんだ!

 

そのあと30分ほど近所をぐるぐるしました。

とても気持ちが良かったです。中回転域のエンジンの伸びが違います。

 

キャブが400LTD純正 Φ32のままなので、高回転になると吸気量が不足している感じもします。Z440LTDの純正がΦ35 (or Φ36)みたいなので、もうちょっとポテンシャルは有るはず。

高回転でエンジンから余裕を感じるんですよね。ただ何か絞られていて力を出し切っていないような感じがして。。

まあ公道では不要な領域の話なので、優先度を落として頭の片隅においておこうと思います。

 

↑この辺を投入したら面白そうだけど、価格がね。。
 海外から純正キャブを引っ張ってきても、フルOHしたら同じ位の金額になることも判明済みなので、そこはぐぬぬです。

 

 

ただなにより、不具合の種というか、もやもやが消えた状態で走れるのが本当に嬉しいです。

あとは前後タイヤがひび割れているので、そこを交換すればOKですね。

 

なんとか時間を作って、コックのOHができてよかったです。

 

 

今回使った部品・ケミカル

 

 

 

 

 

 

以上です。

 

 

 

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