取り付けてから3ヶ月ほど経ち、効果測定も出来たので、インプレッションを書きたいと思います。
点火系の強化でその筋では大変有名なパーツ、ASウオタニの点火コイルキットです。
ASウオタニSPIIパワーコイルキット
注意!:フルトラとバッテリーポイント点火で、SPⅡパワーアンプという部品の中身が変わるので、注文時に点火方式を伝える必要があります。間違って注文したのですが、ウオタニさんは交換に応じてくれました。
正式名称は、SPIIパワーコイルキット 2気筒用の汎用製品です。フルトラ点火、もしくはバッテリーポイント点火用になります。
このASウオタニのSP2。
どういう製品かというと、ものすごく簡単にいえば
昇圧回路+低抵抗のイグニッションコイル
このセットです。
- SP2パワーアンプ:大容量トランジスタと半導体リレーが入ってて、高電圧を発生させる装置。
- SPIIハイパワーイグニッションコイル:ノーマルの1.5~2倍の4万ボルトの高電圧を流せるコイル。放電電流も1.5~2倍、放電時間がノーマルの2~3倍。簡単にいえば、強い火花を発生させる事ができます。
強力な火花は、燃料を無駄なく燃やす事ができ、燃焼効率をアップさせ、結果的にパワーを引き出すことが出来ます。
またチューニングの世界においても、燃調が少し濃かったりしても、強い火花で無理やり点火させることができるので、燃料をたくさん燃やして実質的なパワーアップを期待することが出来ます。
というわけで、ずーっと昔から気になっていた商品でした。タンクに入れるだけで燃費+パワーアップとか言う謎の液体とか、バッテリーに繋ぐだけで燃費が上がる箱など、そういう原理がよくわからないものと違い、原理がはっきりしている製品です。
気になるポイントとしては、効果があるか。その1点につきます。
事前組み立て
まずは事前の組み立てから記事にします。
今回準備したのは、ASウオタニのSPIIパワーコイルキット。
SPⅡパワーアンプはポイント点火用のCタイプです。
それからNGKのパワーケーブルを購入しました。低抵抗で定評のある、国産のプラグコード+キャップです。
プラグとの接続部分がL字型で、キャップとコード共に色はブラックです。
あと、電工ペンチが古かったので新調しました。
エーモンの電工ペンチ+ギボシなどのターミナルセットです。使いやすいペンチで、今回はコレで殆ど事足りました。
取扱説明書が図入りの丁寧なものだったので、取り付け自体はさくさくと進みました。
ケーブルを適切な長さに切断し、皮膜をむしって、
中のシリコンを削って芯線を出し、
中をほぐして細いケプラー繊維を出して、金具にかしめる。
そしてゴムカバーを差し込む。 ただ1点だけ難点がありまして…。
この部分について詳しく説明をします。
組付けに問題発生
コイルに取り付けるこのゴムのカバーと、NGKパワーケーブルの相性がすこぶる悪い。
ゴムのカバーに対して、パワーケーブルの外皮膜が太すぎるんです。イメージだとこんなかんじです。
説明書の指示だと、
「この状態まで組み上げた後、コイルに金具を突き刺し、ゴムカバーを適切な位置までスライドさせる」
とあります。
ただめちゃくちゃ固い。全然動かない。
コードのゴム皮膜とゴムカバーが、完全に食いついてしまってびくともしない。
渋い場合があるので、グリスなどを使って潤滑させてくださいと書かれていたので、あらゆるグリスを使ってみるものの効果なし。モリブデン、シリコン、メンテルーブなどいろいろ試したけど全部ダメ。
金具をコイルに差し込んだ状態で押し込み続けたら、最終的に金具がぐにゃりと曲がってしまい、使い物にならなくなってしまいました。
仕方なく、補修パーツのプラグコードコネクタセットをウオタニさんから購入。。
対応策
ゴム皮膜を思い切って外してみて、シリコン部にカバーを差し込むことにしました。
ただ全部剥がしてしまうとシリコン部分に水が入るので、後端の部分だけ少しだけ残るように調整。
この状態ならスムーズにカバーをスライドさせることが出来、問題なく取り付けすることが出来ました!
どうやらこのゴムカバーは、純正採用されていたり、バイク用品店で売っている切り売りのコードのような、比較的細いタイプに適合するようです。
色々調べていたら、NGKのパワーケーブルもそうですが、ハーレーや旧車で人気のテイラーのプラグコードも同じような症状に見舞われるようです。もしご検討されている場合は、気をつけてください。
車体への取り付け:パワーコイル
車体への取り付けです。
まずはパワーコイルから。
ガソリンタンクを外して、旧いイグニッションコイルを取り外します。
比較的簡単に取り付けることが出来ました。
ゴムカバーは、基本的に抜け防止とコーキングの意味を兼ねて、接着剤で固定すること、という指示が書いてありました。
ただ私は今後ケーブルなどを交換することも有ると思うので、タイラップ留めです。防水対策としては、モリブデングリスを固定後にゴムカバーの端部に塗って、超簡易コーキングしています。
ウオタニのパワーコイルの標準ステーは、3本の穴が開けてあるタイプで、両端の穴を使うことで無加工装着が出来ました。
特に加工しなくてよかったのがありがたかったです。70年代のカワサキの旧車は、イグニッションコイルを共用しているので、殆ど取り付けOKだと思います。
しかし空冷の旧車は、余計な配線とかホース類が少なくスペースが沢山あります。各部へのアクセスもしやすく作業がとても楽です。コレも現代車にはない美点だと思います。
それから、フレームとステーの間にアルミのカラーが入っています。
旧いコイルもこの固定方法でした。当然位置合わせのために使っているのですが、ウオタニのコイルはステーを使ってボディーアースしているようなので、金属部品でフレームと固定するのが必須です。プラスチックや樹脂のステーなどは使わないようにしましょう。
配線は2本で、ポイントからのマイナスと、コイルからバッテリーへのプラス線を繋ぐだけ。
購入した電工ペンチセットからギボシを準備して、接続するだけだったので簡単でした。
車体への取り付け:パワーアンプ
パワーアンプはサイドカバー内に押し込みました。
このような形です。
他にいい場所がなかったので、取り付け方法は結構強引ですが、目立たない形で格納でき、うまくいったと思っています。
まず両面テープでエーモンのL字ステーをバッテリーBOXに貼り付けます。
貼り付けたステーに、パワーアンプをタイラップ2本で固定。
振れ止めと落下防止対策として、細いタイラップを1本フレームに結んで固定しました。
振動がどうなのかというのが懸案材料だったのですが、今のところ大丈夫のようです。
ステー固定とリジットマウントで、どちらがパワーアンプに対して厳しい振動量・周波数のバイブレーションを与えるのか!?なんてのは実験してみないとわかりません。
あとサイドカバーの隙間から走行風が入ってきて、空中に浮いている状態に近いので、冷えやすい状態なのではないか?と考えています。
説明書の指示だと「適当な場所にテープで貼り付けてください」と書かれていたのですが、テープと接している面は冷えにくくなり、車体から直接的な振動を受けることを考えると、今回の固定方法のほうがいくらかマシかなぁ。。。
あと、ウインカーリレーが邪魔だったのでこちらに避難。
宙ぶらりんになっていますが、まぁそこは頑張ってもらおう。。
ちなみにこのウインカーリレーはPMCの台湾製汎用品です。4年ほど問題なく使用出来ています。(過去記事へのリンク)
コレで取り付けは完了しました。
インプレッション
ココからインプレッションです。
実際にどうなったかの、インプレッションを記載します。
全般的に、とても満足の行く結果になりました。
始動性
始動性が良くなった気がします。
セルモーターを回したら、数回転でかかります。今までより始動性がいい「感じ」がします。
一部のインプレで「始動時に明らかに音が違う!」「音が太い!」という声も見聞きしていたんですが、LTDに関しては音での違いは感じ取ることが出来ませんでした。
ただ初爆がかなり早い段階で現れているので、火花の強さを感じることが出来ますね。
アイドリングが安定するまでにかかる時間も少し短くなり、始動時にかかるライダーの負荷が多少低減されました。コレは狙い通りです。
走行のフィーリング
トルクが太くなった気がします。
ガバッと開けたら ドンッ!!段付きシートに腰が押し付けられて頭が後ろに持っていかれる!
見たいなトルク感を期待していたら、さすがにそれは無し。。
ただ全域でトルクは太くなっているようで、普通に走っていたら、あれ?もうこんな速度まで出てる?というような印象を受けるようになりました。スロットルの付きもよいです。回転が滑らかに上がります。
CVキャブなので急激なスロットルワークに対する追従性は限界があるものの、今まで以上のレスポンスでタイヤを蹴っている感じがして楽しい。排気音も力強く感じます。
数値的に可視化したわけではないので何ともいえないのですが、トルクカーブに薄い皮一枚乗っけたような感じでしょうか?
まぁ初めて乗った人が、「このバイクトルク太いね!」というような類の感覚ではありません。“走りが滑らかになって乗りやすくなる”というような、改善ととらえたほうがいい感じですね。加速は大分スムーズだと感じています。
燃費への影響
燃費が良くなりました。コレは確実に結果が出ました。
今までハイオクガソリンを入れて、リッター20~24kmくらいの燃費でした。
前回の日光ツーリングでF川さんが1リットル給油という荒業を見せた際、LTDは満タン法でリッター30kmをたたき出しました。余り予想していなかったので、コレは驚きでした。
パーシャルで走っていた時にトルクが太くなっていて、スロットル開度を小さくしても走るので、結果的に燃費が良くなったんだと思います。
ただコレは道路状況や走り方でかなり変わるものだとも思っています。数値で結果が出るとやはり嬉しいです。
トータルの評価
今回の改造は、全体的に非常に満足のいく改造でした。
今回の出品が全体で3万円程度でしたが、それに見合う結果が得られたと思います。
- トルクが上がったようなフィーリングが得られ、
- 燃費が40%近く改善し、
- 始動性も向上
取り付けにちょっとだけ苦戦しましたが、作業自体は非常に面白かったです。
電気系の作業ってあまりやらないので、作業したらちゃんと結果が返ってくるのが面白いなぁと感じました。
実際取り付けてみて、おすすめできるパーツです。迷っている方は是非検討してみてください。
以上です。
元gn125初期モデル時このパワーコイルキットを使用しておりました
このパワーコイルキット同時点火4気筒用をプレオに使えないか数年前から考えておりましたが前例者の方がおられ安心しております
注意すべき取り付け点等がありましたらお知らせください
斉藤様
お返事遅くなり申し訳ありません。
車への取り付けは実施したことがないのですが、4気筒同時点火ということで、点火タイミングさえ狂わないように結線すれば問題ないかと思います。
あとはアーシングの観点から、必ず本体を金属で固定することでしょうか。
よろしくお願い致します。