先日トライアンフに載った記事を記載しましたが、それを触媒として、ある思いがむくむくと湧き上がってきたので、今回記事にしました。
若干説教くさい記事ですが、お付き合いいただければと思います。
旧車に乗ることをすすめる一つの理由
これはすごいシンプルで、
既存の価値観とか閉塞感をぶっ壊すスイッチになりえるから
これですね。
古い車両に乗ることって、
「車って、バイクってこんなもんでしょ」
「どのマシンも一緒」
っていう知らぬ間に構築されていた、自分の価値観をぶっ壊す行為の一つだと思うんです。知らなかった世界に振れると、自分の視野が広がって、結果的に世界が広がるんですよね。こんな乗り物が有ったんだ、これが普通だった時代が有ったんだっていう。
そしてそれを経験できたらめちゃくちゃ楽しんです。ほんとうに楽しい。
だから、とりあえずの食わず嫌いは置いておいて、チャンスがあったら旧車にもぜひ触れて欲しいんです。
ここからは、新し目のバイクに乗っていた人が旧車に乗った際に感じるであろう事を、リストアップしていきたいと思います。
旧車に乗った時に感じるであろうということ
普通に乗れる
1960年台くらいで、オートバイの基礎は出来上がりました。
- 右手のツイストグリップがスロットル、右のブレーキレバーが前輪
- 左手のレバーがクラッチ
- 右足がリアブレーキ
- 左足がシフト
この操作方法が確立されたのが、50年代末期から60年台にかけてです。
なので、この時代以降のバイクは、とりあえずの操作は出来るんです。クラッチがやたら重かったり、シフトが入りにくかったりとかの癖はあるかと思いますが、乗り方がわからない!っていうことはないと思います。50年前のマシンで、操縦の基礎が出来上がっていることに感動するはずです。
それから
「旧車特有の乗り方をしなければいけないのではないか」
「乗るのが難しいのではないか」
と考える人もいるかと思うんですが、高速走行などの限界性を狙うような走り方をするのでなければ普通に乗れるはずです。
意外と走る
1980年代以前の車両、とくに1960年前後の旧車は、エンジンの熱効率が今とは比べ物にならないほど低いです。無駄の固まり。
ですが絶対的なパワーが無いかというとそうでもなく、そこそこ排気量があったらそれなりの走りを見せてくれます。また補機類がほとんど付いておらず、現行車両よりもフレームが華奢なマシンも多いので、しっかり回転を上げれば結構走ってくれる車両も多数見受けられます。
昔のバイクでも普通に走れるんだね、という驚きは、是非体感してほしいポイントの一つです。
特にCB750とかZ2とかだと、納車日されたその日から、現行マシンと肩を並べて普通にツーリングできるくらいの性能は持っています。そこそこ速いし、現代目線で見ても普通に乗れるドライバビリティ。
発表当時・発売されて乗ってみた人は、それはそれはたまげただろうなぁという妄想をしてしまいます。
エンジンの雑味を感じる。
乱暴に言ってしまえば、エンジンの爆発力を、タイヤを回転させる事 “のみ” に結実させるのが熱効率。
それ以外の、エンジンからの色んな摩擦や熱や音とか振動とかは、熱効率を下げる要因となります。というわけで、効率の良い現行の車両のエンジン音は本当に静か。ノイズやバラつき感も殆どありません。
旧車はメカノイズや振動や塊。これって最初びっくりすると思うんですが、ハマると本当に好きになるんですよね。ほんと心地良い。
ガタガタビリビリ震える感じが、エンジンが生きていて「気を吐いている」感じに捉えられたり。
そしてスロットルに連動してエンジンがより力強く震えたり、回転域から突然力が盛り上がったり、かと思えば同調して車体の振動がすっと消えたり、あるいは余計にひどくなって怖くなったりとかw そういうのがとても楽しいのです。
本当にピストンが上下している感じとか、クランクがくるくる回っている感じとか、そんな感覚を古いバイクでは感じ取ったり出来ます。
これも、現代のバイクに乗り慣れた人にぜひ体感してほしいところです。
反応が緩慢
これも面白さの一つ。
車体が凄く重かったり、フレームが剛性やサスペンションのセッティングがまだ煮詰められていなかったりする車両だと、車体の反応が一拍遅れたりします。ぐにゃんと。特に曲がる時が顕著なんですが、
「曲がるぞ!」「よいしょっ」「回頭開始!」
って感じで、車両の動きが遅れるんです。
僕も以前CB750に乗せていただいた時にそれを感じました。
CB750を借用させていただいた時の記事がこちら。
操作系のタルさというか反応の鈍さに最初は驚いたのですが、5分も走ればだいぶ慣れてきました。そして逆にそれが「スピード出さなくても楽しい感じ」につながって、とても面白かった、という記憶が残っています。急かされないというか、スポーティーさを車両側から要求されない感じがとても楽で。
出力特性と車重がいい感じにハマった車両だと、前述のようにいい具合に「タルく」感じられて、「日常速度域レベルでも、なぜかめちゃくちゃ楽しい」という現代車ではなかなか表現でき無い快感が得られます。
これは現行車両しか乗ったことがない人には、ぜひ体感してほしいと感じている部分です。
ブレーキが甘い
ブレーキは古いバイク効かない奴が多いです。激し目に突っ込むと、現行車両ではクリアできるゾーンでも危険を感じたりもします。
こんなマシンでレースやってたのね、って恐ろしく思うほど。
安全に飛ばす、安全に高速度域を楽しむという観点で見たら、今のバイクのほうが良いのは言うまでもないですね。
(びっくりするほど十分に効く奴が、タマーに居るのも面白いです)
旧車で峠を攻めたりする場合は、エンジンブレーキを併用してリアがロックしないように調整しつつ、無理くり減速して曲がるというテクニックが必要になったりします。これ決まると結構快感。エンジンやミッションを痛めるからあまり乱発は出来ないけど。
あえて「旧車特有の乗り方」みたいな事を言えば、こういうところかなぁと思いますね。
ホント高速域の世界だけ。体重移動とか操舵を丁寧にきちっと入力しないと、上手く曲がってくれないとかはあるけれど、普通に走っていたらあんまり気にしなくてもいいですね。
価値判断の新しい軸ができる(かも)
ここまで色々記載してきました。
もし運良く、カワサキ・スズキ・ヤマハ、それに海外メーカーの旧車に乗ることができたら、旧車乗りがよく口にする言葉である、「乗り味」というものが、どういうものなのかを体感できると思います。
(ホンダの車両は1960年代後半くらいの車両でも、「大変よくで来ている」という印象を受けるので、感動が薄いかもしれません)
各々がバイクに求める機能・性能は違って当然ですので、
- 「こんな世界があったのか!」
- 「旧車って面白いじゃん!」
となる人もいれば、
- 「遅いし重いしなんだかなぁ」
- 「がたがたしてなんか怖いなぁ」
という感想も持つ人もいるでしょう。
どちらでもOKです。
ただ、古い新しいだけではなくって、思い込みや決めつけを持ったままモーターライフを過ごすのって、とてももったいないと思うんですね。
自分に縁のなかったマシンに乗ったり触れてみたりしたら、絶対に世界って広がるはずなんです。
自分の場合で言えば、先日乗ったトライアンフT120(丁寧に書いたインプレッション記事はこちらから)なんてのが最たる例ですね。
トラってもっとジェントルかと思ったら、その実エンジンの上下振動がきわめて荒々しいマシンで、だけれども低速も高速もどのレンジで走っても楽しいという車両でした。
自分が大事にしているZ400LTDなんてのも、アメリカンなルックスなので鼓動感を期待して購入してみたら、ビュンビュン回る高回転エンジンだと発覚して、若干後悔した思い出もあります。
(今では逆に、その高回転でのトルク感と馬力の立ち上がりが面白く感じて、気に入っています)
まとめ
もし機会があるのであれば、食わず嫌いせずに、ぜひ旧車に乗ってみてはいかが?と思います。
旧車体験がない人にとって、古いバイクに触れることは、何か心を動かすピースの一つになるはずです。
そしてそのピースが、人生レベルでの衝撃とかになってくれたら、嬉しいなぁと思ったりします。
以上です。
追伸:
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また、本記事とはカウンター(対)となる記事を書いています。
併せてこちらもご参照くださいませ。
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MINORUさま
今日も軽く流してきました。途中XJR1200乗りの友人に連絡をとりお披露目しました。彼は学生時代250LTD(ツイン)のカタログを宝物にしていたらしく懐かしがることしきりでした!
所で、MINORUさまに質問なんですが、エンジンが暖まった状態でのアイドリングはどれくらいが正常なんでしょうか?2000回転位を示しており1500回転位にしてみたのですが…なにぶん全くの素人なもんで…お時間がありましたらお教えいただければ嬉しいです。
ブーツ手入れしました。結果はともかく愛着が芽生えました!じぶんで手入れするってえーもんですね。
>たかさん
コメントありがとうございます。
Z250LTDもいいバイクですね。一回りコンパクトで可愛らしいです。
アイドリングですが、サービスマニュアルだと1100~1300rpmの間が適正値です。自分もその辺りにしています。1500回転でも少し高いので、もう少し下げて様子を見て下さい。
ブーツのメンテもされたみたいで良かったです。オイルやクリームは何を使われましたか?
教えていただければ嬉しいです。よろしくお願いします!