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旧車に合うエンジンオイルと都市伝説について

      2016/12/12

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その1はこちら。

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エンジンオイルについて、 自分の考察その2です。

旧車に合うオイルの銘柄と、 オイルに関する都市伝説のようなことを話して行きたいと思います。

自分が聞きかじった事も多いです。 ですが、一応エンジニアとしてめし食ってるので、 原理原則に基づいた答えを出していきたいと思います。

 

 

旧車に合うオイルについて

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使ったことがあるオイルは、昔のバイクを含めると多数に渡ります。

カワサキ純正、ホンダ・ヤマハ純正、モチュール、エルフ、スノコ、アマリー、シェブロン、アッシュ、バルボリン、カストロール・・・・ 

 

ほんと色いろあるんですが、 最近気に入って使ってるのは、、、、

 

 

モチュール 5100 10w-40

ネットで購入したら価格もそこそこ。 ヤフオクで並行輸入やってる人がいて、米国製の4リットル入りをよく購入します。

アマゾンで買うより安いです。

 

何か旧いバイクや旧車に合うオイルはありませんか?という質問があったら、とりあえずこれを勧めるようにしています。本当にいい感じです。

入れたらとても調子が良い。バイク屋さんのお墨付きももらっています。性能も街乗り+高速道路で使う分には不満はないです。 あと入れるときの飴色と、独特の香りが好き。

 

 

昔のお気に入り カワサキ T4

以前はカワサキの純正オイル T4が好きでした。

黒地に緑の文字が入った部分合成油。 ホームセンターで1000円ちょっとで買えるコスパが魅力。

あと使い始めの「何とも言えない排ガスの匂い」が好きでした。 でも廃盤になってしまって、手に入れるのは難しくなっています。

 

 

現在のT4の代替品のラインナップは、カワサキ S4という品になります。

 

 

アマリーインペリアル

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あと最近使ってないですが、アマリーのインペリアルも好きです。

量販店に置いてないので、基本的に通販で購入しています。(福岡のこことか

 

鉱物油で、エンブレ時に独特のどろどろ感が有るのが特徴。 完全に主観ですが、なんか癖になる乗り味が楽しめました。

自分が使っているのはこのあたりですね。 大体リッターあたり1500円から、高くても2500円くらい。 このレンジだと、2000km程度までの一般道+高速道路の使用には、 余裕で耐えてくれました。

でも多少車両を選ぶかな。70年台の空冷のマシンならイイかもしれないけど、80年代移行のパフォーマンスが上がってきたマシンだとMOTUL5100がベターだと思います。

 

 

 

都市伝説について。

ここからが本題です。

これまたかなり長い記事になります。

 

 

「旧車に全化学合成油を入れたらあまりよくない。漏れる」

一概に判断できない。ただ漏れることもあると思う。

 

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そもそもオイルの種類って色々あるけど何なの? というところから説明します。

オイルの種類として、全化学合成油、部分化学合成油、鉱物油などがあります。 それぞれ100%化学合成とか、半化学合成とか好き勝手呼ばれたりして、 メーカーによってまちまちなんです。 この辺、基準化して表現を統一して欲しい所です。

 

●まず鉱物油。

パパコー・レーション 佐藤のオイルコラム2.png (画像はヴァージンハーレーさんから)

エンジンオイルに使われる原油(ベースオイルと呼ばれます)に、 一般的な使用環境で必要な最低限の添加剤を入れたもの、 とイメージして貰えればいいかと思います。

油の純度を上げる精製工程も、全化学合成油と比較したら簡易。 油の成分の粒子も不揃いで、不純物も混ざっていたり(もちろんメーカー基準はクリア)。

製造コストを削り、潤滑油の「機能」に特化したオイルです。 一般的に安く、低級と言われています。

 

 

●次に全化学合成油。

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ベースオイルは鉱物油と同じですが、 高度で複雑な精製工程を経て生産され、不純物をできるだけ取り除いたオイル。

オイル粒子の粒が揃い不純物が少ないため、なめらかでざらつきがなく、 エンジンの効率が上がります。 コレに加えて、 「低フリクション」「オイル寿命向上」「エンジン洗浄効果」 などを期待できる化合物を添加しています。

 

よくガソリンスタンドなどで「エンジンに優しいオイル~」なんて言われているのは化学合成油だと思ってもらって大丈夫です。 製造に手間がかかり、研究開発費もかかっているためか、 値段は高価です。

 

 

●そして部分合成油

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化学合成とか、部分合成とか呼ばれているオイルは、 鉱物油と全化学合成油のブレンドになります。 ブレンドする割合を変えることで、性能や価格を調整している感じです。

 

 

旧車と漏れの関係

で、旧車に全化学合成油を入れたら漏れるか、という話ですが、

ありえないことではないかと思っています。 原因は古いバイクの設計です。

 

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部品と部品の合わせ面の粗さのことを「面粗度」というのですが、 コレが昔のバイクだと、今の基準で見たらそうとう荒かったりします。

ここに、最新の細かい粒子で構成された化学合成油が入り込んでしまうと、 滲んだような感じになって漏れてしまうことがあります。

 

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あとガスケットの違いですね。

エンジンの部品部品の合わせ面に、オイルや燃料、爆発の際の衝撃波が漏れないように、 ガスケットと呼ばれる板が張ってあります。コレがオイルの漏れ留めになっているんですね。

 

金属だったり、テフロン、ポリアミドやガラス繊維などを混合した複合材などが一般的です。

昔はダンボールみたいな厚紙を数枚重ねたやつを使っていたり、 もっと古いのになるとコルクです。 このガスケットの隙間を、細かい粒子の隙間が通って滲むことがあります。

 

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O-ringに代表されるゴムシールもたくさん使われています。いわゆるパッキン。

ゴムの場合はもっとシリアス。 長年の使用で熱劣化を受けて、ゴムがへたって弱っているところに、 細かい粒子のものが来たら滲んだり漏れてしまうでしょう。

 

 

最新のオイルは洗浄成分・潤滑力が強い

■最近の全化学合成油は、 環境対応でエンジン内部の汚れに対する洗浄成分が強かったり、 エンジンの摩擦を抑えて燃費を上げることを目的として、 いろんな化学物質が添加されています。 新しく開発された化合物もたくさんあります。 そういったオイルは、最新のクルマやバイクをターゲットにして、 それらのマシンに使っても大丈夫なように性能や添加剤などを調節してあります。

それが旧車の場合だと話が変わってきます。

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そもそも旧車が開発された時代のガスケットやゴムが、 (結果的に)新しい添加物に対して耐性がある保証は無いです。

もしオイルに入っている添加物と、ガスケットやゴムの相性が悪かった場合は、 化学物質に攻撃されて劣化してしまい、漏れに至ることもあると思います。 もっと極端な話をすれば、 長年の走行でカーボンやすすなどが蓄積して、 結果的にオイル漏れが止まっていたものが洗浄されて隙間が広がり漏れる。。。

そういう事も、絶対にありえない話ではないのかな? と考えますね。

 

 

オイル漏れという観点だけで見ても、 バイクのコンディション、設計思想、それとオイルの組み合わせ・相性、 これらを勘案すると答えは無限にあります。

ですので、 「漏れたり漏れなかったりする、漏れることがあるかも」 というのがひとつの答えになるかなと思います。

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それでもいきなりダダ漏れすることは、あまりないかなぁ。。

 

オイルの影響だけで漏れるのであれば、 「滲むような感じ」で漏れていくのが、原理的にも自然だと思います。

一番安パイなのは、純正指定されたグレードに近いオイルを使うこと。それで満足できない・調子が今ひとつなのであれば、 色々試して知識と経験値を上げていく。

 

それが急がば回れで一番いい方法だと思います。

 

 

「旧車に鉱物油を入れると、鉱物の成分でエンジンが生き返る」  

原理が分からないのでなんともいえない。

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これ結構良く聞くんですが、 原理が全く分からないのでプロパガンダ的な売り文句じゃないかと考えています。

鉱物油内のどんな化合物が、どのくらいの頻度で、どんな温度状況のとき、どういう原理でエンジンに良い効果をもたらすのか? 原因と結果の関係がわかんない限りは、 なんか納得できないんですよ。職業柄。。

鉱物油って英語では “mineral oil” なので、 ミネラルをなんか勘違いしてるんじゃないの? とか邪推したりもします。

 

 

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(写真はイメージです)

ただいろんなバイク屋さんに話を伺ったんですが、 プロもたまに同じ事仰られるんです。  

「鉄シリンダーの旧いバイクは、鉱物油のほうが合ってて、 成分的に良い働きをしてくれる」 とか。

 

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おそらく、職業柄のデータベースの蓄積があった上で仰られているのでしょう。

そうだとしたら、「理論より実践」的な観点で一考の余地は有りそうです。 実践を体系立てて検討をしていなくとも、 バイク屋さんの業務自体が、テストデータを積み上げてくような仕事です。

真摯に仕事をしているバイク屋さんって、色んな問題に対して、 なんとなくぼんやりとした「答えの欠片」みたいなのを持っていることが多いような気がします。

 

 

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これに技術者・科学者の目線をあわせて考えることができたら、 経験と原理が合わさって「真理」に近づくことが出来ると思うんですよね~。

ネットを使えばそういう別世界の文脈を繋ぎあわせて、 今まで曖昧だったことの正解を紡げるんじゃないかな? とか考えていたりします。 結論としては、原理がよくわからないので不明です。

 

 

 

 

「鉱物油は寿命が短い、全化学合成油は長寿命」   

 ⇒一般的にそうだけど、レース用オイル等極端に高性能なやつは別。

 

一般的に鉱物油は劣化を遅らせるような化合物が入っていない場合が多いので、 化学合成油と比べたらオイルの劣化は早いと言われています。

街乗りレベルだったらさほど神経質になる必要はないけど、 マメに交換するに越した事はないですね。

 

では、全部の化学合成油が長寿命なのか? と言ったらそうでもない。

 

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レースに出てるチームが使っているものなんかは、その最たる例です。

レースに勝つためには、徹底的に軽くして摩擦を減らし、 なおかつ潤滑性能はパーフェクトであることが求められます。 レース用品は、パーフェクトな性能と寿命をトレードオフして成立しています。 だからめちゃくちゃ寿命が短いんです。

 

1000kmとか1ヶ月とかそんなレベルじゃない。

1レースの1時間、もっと言えば30分だけ最高のパフォーマンスを発揮できるオイル。

 

1時間とか2時間とかの短い寿命で、 市販レベルでは考えられない最高の性能を叩き出す。一瞬の輝き。太く短く。 水みたいにシャバシャバで、ぜんぜんオイルらしくないのに しっかり油膜が残る。めちゃくちゃ高温になってもしっかりエンジンを守る。

レース後は即廃油。 オイルは死んでるから。ぽいッ。

純粋に性能特化すると、こういう品も生まれます。

 

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ここまで極端ではないにしろ、 バイク用品店とかで「超高性能オイル」と呼ばれているオイルは、 オイルの性能として「美味しい期間」が極端に短かったりするので注意が必要です。

入れた直後から500kmくらいまではめちゃくちゃ調子がいいけど、 それ以降はなんかもっさり。。ノイズが大きくなった気が…。

そういうオイルも有るようです。 もし高いオイルを入れようなかな?と思っている方は、 事前に特性を把握してから使うようにしたほうがいいと思います。

 

 

「産油地によってオイルの成分が違う」   

昔はそうだったみたい。今はどこも同じ(らしい)

 

よく「アメリカのペンシルバニア産のオイルは高性能」とかいう話を聞きます。 アマリーとかね。

パラフィン系原油なので、高回転でも潤滑してくれる。 ゼロ戦にも使われていたとか。

 

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実際の所、昔は生成技術が未熟だったため、産油地での差が出ることが有ったようです。ベースオイルからエンジンにとって美味しい成分を取り出す際、 その成分の含有量が多かったり、不純物が少なかったりで差がついていたのだと思います。

精錬技術が発達した現在では、どこのオイルでもエンジンオイルとして必要な オイル成分は取り出せるようになっているとのこと。 また、不足分は成分を科学的に合成した添加物で補うことができます。

ですので、産油地違いでの性能差は殆ど無いようです。

セールスレターとしてこういった事を使ってるメーカーがいますが、 その程度で受け止めてもらえればいいかなと思います。

 

 

またメーカーによっては、

「以前は本国で生成してたけど、最近はマレーシアで精製してるから、品質管理が上手く行ってないようだ」

というようなウワサ話も聞こえてきたりします。バイク屋さんからも。

でもまあ噂話だからなぁ。。 感覚論に基づいたウワサ話だと余計な尾ひれがつくものなので、 話のネタ程度にとどめておいてもいいとおもいます。

 

 

添加剤の効能について」

コレばっかりはほんとうによくわからない。

 

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市販されている添加剤の是非は、 正直メーカーに入って研究しないと、真価がわからないと思います。

 

正直エンジニア的目線から言えば、

何かよくわからないものを必死に作った製品に入れてくれるな。

というのが正直な気持ちだったりします。

配合成分や、効果が出る原理もよくわからないのに、 売り文句だけ読んで使ってみるというのは、ある意味すごく怖いことかもしれません。

成分を読んでも正直よくわからないので、なかなか難しいところです。

 

 

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ただ友人の体験談なのですが、 世の中にはヤクルトの入れ物1個分くらいの容量で7000円近くするような いわゆる高級添加剤があるそうです。

それを使ったら、それまでどんどん漏れていたラジエーターのクーラント漏れをものの見事にピタリと止めたそうです。

一般量販店には殆ど置いて無く、業者向けのカタログにのみ記載があるとか。 実際に正しいタイミングで、用法用量を守ったら効果がある商品も有るのでしょう。

ですので、自分は添加剤の効能を全否定はしません。

 

 

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ただ完全に私見ですが、 激安の添加剤とかは、「効果もないけど害もない」といった物を使っているのではないか? と疑心暗鬼することのほうが多いですね。

  • 入れるだけで燃費が良くなる錠剤!
  • 巻きつけるだけで燃焼効率が上がるテープ!

みたいなのが流行りましたからね。

どちらも公的機関からの処分受けてましたけど。 (公取委の公表ページヘ)

 

自分の燃料添加剤歴

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自分は

  • スーパーゾイル、
  • ワコーズのフューエルワン、
  • オイル漏れ止め防止剤、
  • NUTECのNC-81… 

このあたりLTDに投入しました。

もっと色々入れたかも。 でもいまひとつ効果がよくわからないというのが本音・・・・。 実はかなり延命できたのかもしれないですし、 入れても入れなくても大差なかったのかもしれません。 闇の中です。

「額面通りに高性能なら、メーカーが最初から使っているよ」

よくそう言う風に言われます。まさにそのとおりです。 ですので、「ディーラーに置いてあるか否か」 というのがひとつの判断基準になるのかな?と思っています。

 

 

DREAM店やYSPには、ワコーズのケミカルがおいてあった気がします。

「コレ入れてもメーカー保証受けられますか?」 と聞いてみて、OKだったら「メーカー公認」と見てもいいのではないでしょうか?

 

余談

 話はちょっと変わりますが、ワコーズを始めとする何社かのメーカーは、 自動車メーカーと色々共同研究して、オイルやグリスとかを作っているようです。

0w-20とかの低粘度エコオイルとかがそれ。 また、モリブデンショットとかDLCコーティングなどに代表される、 「金属同士の接触面の摩擦抵抗を低減させる表面処理」もそう。 これはレースの世界やハイアマチュアの方々が使用されていたのですが、 摩擦抵抗を下げるという観点で量産メーカーが注目し、 量販車種にも使用されるようになりました。

2001年頃から、軒並みのコンパクトカーのカタログ燃費が、 いきなり20km/l近くまで伸びたのは記憶に新しいと思います。 技術革新のネタとして、 このようなケミカルやコーティングが一役買っているそうです。

 

 

まとめ

 ■さて、色々書きました。

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オイルは化学物質で、エンジンという高温・高圧・高速摺動という 最悪に過酷な環境下で使われます。

これを可視化するのはかなり難しいことです。 ある程度の期間を経た後のエンジンのダメージ、 もしくは乗り手のフィーリングなどでしか評価が出来ません。

 

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いっそのこと開き直って、 公道で日常的に乗り回す程度の使用環境であれば、

使用したフィーリングでオイルは決めてもいいのではないか?

と思っています。

 

オイルの香りとか、エンジンブレーキのかかり具合。 加速が良くなった感じがするとか、その良さがどのくらい続いたとか。 交換を含めて暫くの期間使い続けてみて、 自分が気に入ったものを使えばいいと思います。

「そんな安いオイルよりも、●●オイルのほうがブランドだしいいんじゃない?」 と聞かれた時に、 「色々使って僕はコレが好きだから」 と自身を持って言えるようになれば、 うんちく垂れる人より100倍格好いいライダーだと思います。

 

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