大学を卒業し、新入社員になってからすぐのゴールデンウイークに購入したバイクが、このGL500カスタムでした。
初めての旧車。僕が22歳の時です。
このバイクを知ったきっかけ
このバイクの存在は、大学の時から仲良くさせてもらっている友人のアパートで知りました。
彼は日本のバイク50年史だか、ホンダのバイク名鑑だかの、バイクの歴史みたいなめちゃくちゃ分厚い本を持っていて、それを遊びに行った時読ませてもらっていたんです。そしたら、アメリカンバイクの最初の方にこのGL500が出てきました。
衝撃でしたね。
なんてブサイクなバイクなんだと。
当時はロー&ロングなスタイルが一番「素敵」だと思っていました。
腰高な車両、スポーツバイク的なホイールベース、(実際そうなのでしょうが)取って付けたような殿様ハンドル。この70年台感満点のGLカスタムは、僕には珍妙な存在にしか見えませんでした。
そしてこのバイクの最大の特徴であり、やたらに存在を主張しているエンジンもそう。水冷OHVの4バルブ。それを縦置きにセッティング。
V-TwinならHARLEYと同じレイアウトにすれば良いものの、なぜ90°回転させて縦置きにしているのか。なんでそこでオリジナリティだすの?
「こりゃ酷いバイクだ。大惨事と言っても過言ではない。」
まだまだ青二才だった僕は、そう思って本を閉じました。ただその時には、もう種は蒔かれて肥料までぶっかけられていたのでした。
リサーチの日々
その後、妙にGLのことが気になってしまい、色々ネットで調べる日々が続きました。
- 国産でかなり珍しい縦置きVツインエンジン車両であること
- OHVながらも、国産の量産車で最初期の水冷エンジン搭載車両であること
- 最初期のCDI点火のバイクであったこと
- 超高回転型OHVで、1万回転近くまで回る事。
- 異常に巨大な車格を武器に、一時期国内の400cc売上でTOPを取ったことも有ること
- ターボバイクのベースになったり、ダートトラックレーサーに改造されたりしたこと
いろんなことを調べて頭に入れていきました。面白い歴史を持った車両だと思ったんです。
また「他人と違うマシンが欲しい病」を相当こじらせていたので、このGLなんかは、中途半端な希少性と廉価さが相まって「どストライク」だったんです。
珍妙なルックスも、まぁハンドルやウインカーとかを丁寧に選んでいけば、かなり見れるスタイルに持っていけるだろうとも感じました。
もうこうなると頭が買うことでいっぱいになっていくのです。大嫌いと大好きは紙一重とはよく言ったもの。GL500の件は、まさにそれを体現したような車両でした。
そして冒頭に述べたとおり、会社に入ってからすぐに、GL500カスタムを購入したのでした。
当時のGLのインプレッション
バイク屋さんで購入したのですが、最初タイヤがひび割れまくりだったり、キャブからガソリンがオーバーフローするなど、細かいトラブルが有りました。
周囲に恵まれて、いろいろな人の手を借りながら、ちょっとづつ良いコンディションにしていったのを覚えています。
このバイク、220kg近い重量があります。ほぼ同じ重さのドラッグスターとは違い、かなり腰高で重心が高いバイクです。70年代基準でのスポーツバイク寄りです。
いままでコテコテのアメリカンしか乗ったことがなかった自分にとって、この乗換えは精神的にも技量的にもかなりハードルが高い高いものだったように思います。
最初乗り方がわからなかったんです。バイクに乗せられているという感じでした。
結構速かった
直線の気持ちよさは特筆すべき要素です。ただ走っているだけで気持ちいい。
のんびり走るのが楽しいかというと、意外にそうでもない。流れの良いバイパス道路でで、5速で70km/h以下で走ろうとすると、速度が低すぎてかなりギクシャクするような印象が有ったのを覚えています。
エンジンは見た目に反して、「もっと回せ!」「もっと速く走ろう!」と急かしてくるような側面も持っていました。
あとコーナリングも、高速コーナーでは一度ラインを決めるとビタッと決まって駆け抜けられる素性の良さを感じました。
どこどこ走るクルーザーというより、スポーツバイクよりの性格が強かったように感じます。この辺が、当時のジャメリカンの特徴であり、美点だといえると思います。結局息長く乗れる性格ですからね。
唐突な別れ
GL500とは、1年満たない期間でお別れすることになってしまいました。
山道のワインディングを走っている時バイクと正面衝突したからです。対向車線に僕がはみ出してしまって、それでぶつかってしまいました。過失割合で言うと、僕が圧倒的に悪い事故でした。
シチュエーション的には、普通に大怪我、下手したら死んでもおかしくない事故。ただ奇跡的にも、私も相手の方も2〜3日で治るようなかすり傷。 …ですが、GLも向こうのバイクも全損です。
両者とも、フレームが曲がったり割れてしまったのです。自分に都合よく解釈するのであれば、あの無謀運転をGLが守ってくれたのかな…。 そんなふうに思ったりもします。
若さ故の過ちでは済まされない無謀行為
今振り返ったら、なんと無謀なことをしたもんだと、恥ずかしく、情けなく、自分に対しての憤りが湧き上がってきます。
あの時僕はどこか調子に乗っていて、何と言うか「地に足がついていないような状態」だったのではないかと思っています。
自分のできることやれる範囲、やらなきゃいけないことを見極めずに、ただただ先に先に突っ走ろうとしていたと言うか。そのせいで相手の人はもちろん、同時にツーリングしていた仲間たちも含め、多くの方々に多大な迷惑をかけてしまいました。
そして何より、ようやく乗り方を掴み始めていたGLを失ったというのが、とても悲しかったです。
あれ以来、バイクの運転自体はかなりヒヨったものになりました。ですが、安全を考えてマージンを取り、なんとか無事故で過ごせています。
その後
半年くらいの間、またバイクに乗ってはいけないと自制し、家に篭っていました。
ですが、バイクに乗りたい盛りだった僕にとって、その空白期間は本当に苦しかったです。結構ツーリングやチョイノリのお誘いも有ったんですね。バイクがないのに。
そんなわけで、ある程度謹慎も済んだかなと思い、またバイクの購入に動くことにしたのでした。
そして買ったのが、Z400LTDだったんです。
今回はここまでにします。
GL500カスタムの弟分のGL400ウイングカスタム、私の青春時代そのものです(^-^)友人の3人がまさかのカスタム乗り!よく乗せてもらったものです(^-^)大柄でかっこいいバイクでしたよ。まさに青春時代そのものでした。
当時は3ナイ運動真っ只中、大型は限定解除のみと不遇な時代でしたがバイクに熱い時代だったかと(^-^)
その頃惚れてたLTDに乗っている今こそ第二の青春時代かもですね(^-^)
>たかさん
GLがたかさんの青春時代だったんですね!
いま見ても相当大柄に見えるので、当時はもっと大きく感じたんだろうなぁと思います。
確かに若い人がバイクに熱い時代だったんだろうなぁと思います。
僕がかっこいいバイクを紹介していって、その熱が若い人に広がっていくことを密かに狙っております。
時々見せて頂いてます、GL500カスタム乗ってますよ。前オーナーから譲り受けて1年半位になります。
なにぶん古いんであちこち調子が悪く自分で少しずつ直して乗ってますよ、最近ようやくエンジンの調子が出てきた感じがします。
古いバイクに楽しんで乗ってる感じが良いですね、これからも記事楽しみにしてます。
>yujiさま
コメントありがとうございます。
GL500乗っていらっしゃるんですね!
自分のFacebook上でも、「乗ってます!」「乗ってました!」というコメントが沢山溢れてきて、本当に人気のバイクだったんだなぁと実感できました。
ホンダのバイクはパーツの供給が不安と聞きますが、GLはいかがでしょうか?海外から探せば結構出てきそうですが。自分はそういう問題に直面する前に潰れてしまったので(汗
自分のスタイルをほめていただきましてとても嬉しいです。今後もよろしくお願いします!
MINORU さんお返事ありがとうございます、私が免許取った頃はGLはすごい不人気車で私自身もこんなバイク絶対乗らない、って思ってたんですけどね。これが乗ると結構良いんですよね。
部品の供給はやっぱり良くは無いです、でも最低限の消耗品類は結構出るんで、なんとかなってる感じですかね、でも外装関係とかは全滅だし、乗り始めてすぐCDIがパンクして半年乗れなかったりとか色々ありました。
色々考えて手を尽くせばなんとかなるって感じですかね。今年は念願の北海道にもこいつで行ったり、結構楽しんでます。
>yujiさん
ありがとうございます。
>手を尽くせば何とかなる
素晴らしいです。結構専用設計の部品が多いと思いますが、出回ることを祈ります。
CDIはこの年式になると結構パンクするみたいですね。自分のLTDはポイント点火なので、故障時の対応は比較的は容易です。ただCDIの火花の強さと安定感は、技術レベルの革新を感じる要素でだと感じています。
そういえば北海道へドラッグスターでツーリングに行った時、ターンアウトマフラーに改造されたGLと並んだことがあるんです。低い、うるさすぎない本当にいい音でした。あれが初めてGLを見た経験だったような…。今でも目に焼き付いています。
うんうん、GL500なかなかカッコ良いですね。
こりゃ酷いバイクとか、
大嫌いと大好きの間とか、
先ずはネガティヴなイメージ。
重厚感や腰高なデザインからの昭和的乗り物感。全て共感できますよ。
>キックさん
コメントありがとうございます。
共感していただいてとても嬉しいです。
今はスマートでスタイリッシュにというデザインが多いんですが、GLに関しては大迫力ですよね。デカイからかっこいい、みたいな価値観が潔くて素敵です。