最初に乗ったバイクはマグナ50。そして2台目のバイクは、ドラッグスター400でした。
97年だったかの限定モデルで、エンジンがブラックアウトされた車両です。大学2年生位の時に免許を取り、1回車検を通した記憶があるので、通算で2年程度乗ったと思います。
このバイクもとても思い出深いバイクです。
馴れ初め
私が中型免許を取ったのは、マグナ50のパワーの無さに困り、次のバイクにステップアップしたいという欲求が自然と湧き上がったためです。
あの頃の感覚を彩り鮮やかに思い出すのは、なかなか難しい作業なのですが、
「とにかく大きなマシンに乗りたい!」
「人と違ったバイクに乗りたい!」
という気持ちでいっぱいだったように思います。
マグナのボアアップとかも考えたんですが、マフラーにクラッチ、キャブ交換して~と色々やりこんで行ったら、それはそれで結構お金がかかります。
そして車格自体は変わるわけでもないので、「あまりやる意味ないかもなぁ」なんて思ったのでした。なので、心はクラスアップに一気に傾いてきます。
最初に欲しかったバイク
無事普通自動二輪免許を取得し、最初に欲しいと思ったのはこのバイクでした。
カワサキ バルカンドリフター400
ハーレーのFLSTC(ソフテイルクラシック)の寸法を「完全にコピー」したバルカンクラシックがベース。
そこから1940年台の銘車 インディアン・チーフをオマージュした車両です。
最大の特徴は、抜群に主張する巨大なエスカルゴフェンダー。そして、90年代以降の国産アメリカンで唯一ではないかと思える、バディシートを装備していること。そして400ccクラス唯一のリアディスクブレーキ。何れも専用パーツで、めちゃお金がかかったスペシャルモデルです。
よくぞまぁこんなバイク市販しましたよね。1999年に初期型が発売。まだまだバイク業界が元気だった頃だったのでしょうか。
色が何色か用意されていたんですが、僕は限定色の水色が欲しかったんです。マルーンや黒が人気の中で、あえてのチョイスといった所。
…先にも述べましたが、「人と違ったバイクに乗りたい!」という病気が、大学生の段階でしっかり発症しておりました。
そしていろんな手法でリサーチするんですが、やはり全然たまが出てきません。
時々マルーンあたりが遠方の県で出てくるんですが、それでも60万円近くしました。結構予算オーバーです。
なかなか出物がないなぁと探しあぐねていた所、当時の友達から「熊本のバイク屋さんが、マニアックな車両を取り扱ってくれるから、相談してみなよ」という話を持ちかけてくれました。
そして実際熊本に足を運んで、そのバイク屋さんとお話をすることになりました。
親父さんと話した内容としては、
- ドリフター400は本当に数が少ない。
- 出てきたとしても、良い車両にめぐり会う確率はもっと少ない。
- 君は大学生で初めての中型なんだから、安価なバイクを買うのも一つの手だと思う。
- しっかり乗って遊びながらお金を貯めて、乗り換えるなり、大型に行ってもいいじゃないか
そのようなアドバイスを頂きました。
そして提示してくれたのがドラッグスターだったんですね。走行距離が2万5千km位で、新車からそのお店でメンテナンスをしてきた車両。車検が1年付き。多少距離が伸びているのと、コケ傷がある分安くするよ。
魅力的なオファーでした。
そのバイク屋さん、お名前は出しませんが表向きは四大メーカーのいちディーラー店舗。
なんですが、その実TRカンパニーみたいな「レア車の倉庫」となっていました。
記憶にあるだけでも、GT380やカタナ1/2/3型、HS1に初期型XS-1、ハーレーのファットボーイに、よくわからない細身の旧いBMW。Z1/Z2が並ぶ横にサルーテ50が居るなど、全国区で見てもかなりなカオス状態だったのを覚えています。
ドラッグスターに決めた決定打
この時点で結構心が揺れていたんですが、決定打になったのが「試乗」でした。
片側2車線のかなり道幅が広い主要国道での試乗。車がビュンビュン走っていた最中、なぜか僕が走りだした時だけ、ものの見事に車が消えたんです。だからスロットルをワイドに開いて乗り回すことができたんです。
あの情景は今でも明確に覚えているのですが、「今までに乗ったことがない乗り物だ!」という衝撃と興奮が、私の身体を突き抜けていました。
足を思い切り前に出した乗車姿勢で、重たかった車体が走りだすとフッと軽くなって、イージーにコントロールできる感覚。1インチの太いグリップのスロットルをひねると、小さいながらもいい音が出て、シートにぐいっと腰を押し付けられる加速が楽しめました。
あの試乗体験で、判子を押す決断ができたんです。乗ってみるって本当に大事だと思えた経験です。
そして、今思えばドリフターに固執しなくてよかったなんて思っています。
カスタム三昧の生活
ドラッグスターと過ごした2004~7年の2年弱は、寝ても覚めても「カスタム」の事を考えていたと言っても過言ではありません。
当時はトラッカーブームが一段落し、スクーターが町を跋扈していた時期と重なります。
ストリートバイクのカスタムシーンでは、“So-cal Chopper” と呼ばれるマシンが出現。SRやトラ、スポーツスターなどをベースとした、小さくコンパクトにモディファイされた車体に、パンチの効いたエンジンを乗せるという、街乗りメインのカスタムが流行の兆しを見せていました。コレがのちに「ブラットスタイル」と呼ばれるジャンルに発展していきます。
ただ400ccのアメリカンも、全盛期から数は減ったものの、まだ一大勢力を誇っていたのも事実です。そして今では考えられないほど「ボルトオンパーツ」が充実していました。専用設計された、いわゆるポン付けパーツです。
専用ハンドルに、専用シートやシートカバー。ステップにメッキサイドカバーに、モールやら専用ウインカーステー、、、などなど。
とくにすごいのが、このプッシュロッドカバーでしょうか。
ショベルヘッド風とか、パンヘッド風に見た目を変えるカバーです。完全な飾り。デッドウェイト。しかも結構な値段がします。
こんなニッチな商品が発売されているのは、それだけドラッグスターが売れていたということなんでしょうね。。
そんな商品を眺めながら、当時の自分のセンスを信じて、バイクをキャンバスとしてパーツをチョイスして遊んでいました。
あぁホワイトリボンタイヤが懐かしいです。パーツは結構ヤフオクで買いあさりました。マフラーはケンテック製だったと思います。
あまりに燃調が薄いので、キャブレーターをバラしてMJ調整をしました。MJ思い切りあげたら相当乗りやすくなって感動したのを覚えていますね。
バッグはデグナー。モールなどメッキパーツもりもり。無理やりステーで加工して作った電気式タコメーターが酷い位置にある。
ハンドル周りは今のLTDに通じる部分がかなりあります。
そんなドラッグスターですが、就職を機に九州を離れることになったので売却しました。もう10年位前の話です。
ドラッグスターに乗ってよかったこと
これは、大きく2つ有ります。
- 人気車種に乗れたこと。
- カスタムの虫を解放できた。
人気車種に乗れたこと。
まず人気車種に乗ったということですが、比較的長く売れているというのは、悪いバイクである可能性が低いということです。
後で知った事になりますが、ドラッグスター自体が前身のビラーゴ400や、その前のXVシリーズから派生しているため、熟成されたエンジンになっていたのが大きな美点でした。とても乗りやすかったです。なんだかんだで僕に合っていました。
それに売れているからこそ、先述のようなカスタムパーツも沢山出てくるわけです。人気車種に乗ることが、それイコール没個性になるとは限らない。これを実感できたのは、非常に良い経験だったと思います。
カスタムの虫を解放できた
また、一通り思いつく限りのカスタムを実施して、バイクを弄り倒したい!という欲求を、自分は解放できたと思っています。
これは人によって持っている「欲求の量の差」があると思うので一概にはいえませんが、大学生の段階で、一通りやりきったなぁという達成感を味わえたんです。逆に言えば、どこまでいじり倒してもキリがないなぁ。という感覚を既に覚えていたのかもしれません。
ですので、次のバイクはウインカーとかグリップ、ミラーなどの小改造にとどめ、純正のスタイルの良さを味わいたい。なんてことを考えていました。
またボルトオンカスタムと日常メンテ程度では有るとはいえ、一通りのバイクの構造などを実体験を通して学びました。そしてマフラーの燃調を「積極的に合わせに行く」のが楽しくなったりする辺り、「調子よくバイクに乗って行きたい」というスタイルにフォーカスが行くようになっていた気がします。
まとめ
まぁそんなこんなで、ドラッグスターは僕の青春のいちページに燦然と輝くマシンになりました。
北海道にも行ったし、阿蘇の山々も走りました。このシュートボクセ・アカデミーのジャージがなんとも懐かしい。PRIDEにも狂ってたもんなぁ。
ステップ擦るのが楽しいと感じたのもこのバイクに乗ってからです。
マグナと来てドラッグスターに乗る。就職を前に大型免許も取りました。そしたら次はハーレーかなぁ~。試乗会で乗ったXL1200R楽しかったもんなぁ。
なんて考えていた時代が有ったことを思い出します。
まぁそうは僕の性根が許さなかったんですよね~。。。
また期を見て、次の車両のエピソードを語りたいと思います。
2022年2月1日追記:
またちょうどこの頃は、過去の自分がWEB発信していた最初期と重なります。
その辺の中身をこちらにまとめていますので、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。
2000年前後のWEBの状況を、可能な限りなぞれるようにまとめています。
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