乗り方を掴みかけていたGL500を事故で廃車にしてしまい、その後に購入したのがこのバイク。
本このBLOGのメインテーマとなっている、Z400LTDです。
2台続けて和製アメリカンなのです。
背景
GLを失って半年ほどは、あまりバイクに乗り出す気にもなれずに、蟄居する日々が続いていました。
当時は会社の寮住まい。しかもその寮は、会社の同期でも指折りのバイク馬鹿野郎(褒め言葉)が集まっていたんですね。
土日はもちろん、平日でも早く会社から帰ってこられた友達は、2人3人と集まって走り出しに行くんです。僕は駐輪場にいちばん近い角部屋だったんで、否応なくエンジン音が聞こえてきます。
まぁ悔しくて悔しくて。
そんなときに、「そろそろバイク買いなよ、一緒に走りいこう!」と友達が声を変えてくれました。
GL500の事故の際に一緒に走っていて、かなり迷惑をかけてしまった友達でした。
自己謹慎しているような感覚で、バイク購入に踏み出せなかった僕にとって、大きなきっかけを与えてくれました。
今でも彼には本当に感謝しています。
気になっているバイクがあった
蟄居中も気になったバイクはすでに有りまして、それがZ400LTDでした。
これも大学自体からの友達が持っていた、バイク図鑑に載っていた車両です。
大仰なプルバックハンドルを装着し、ちょび三段シートが取り付けられたバイクの写真。これを見た時の感情は、いまでもまざまざと覚えています。
「なんだこりゃ!」
「純正で族車じゃないか!」
「70年代はイカレテいる!!」
ゲラゲラ笑いながら、そんな事を言っていましたね。
である時、とあるバイク屋さんを通りかかったら、このバイクが店頭に陳列してあったんです。
黒と赤のツートンカラー。けっこうボロボロでした。
写真と現物は印象が違うという話・体験は、皆さん覚えがあるのではないでしょうか。
現物のLTDは、なんか族賊した印象が薄くて、「カスタムメイドのアメリカン」という風合いを感じたんです。
車体もそんなに大きくないのですが、バイク自体のオーラと言うか存在感が思っていた以上に大きくて、ひきつけられるものがありました。かっこよかった。
時代は回る
あと、時代背景も味方したかもしれません。
2008年当時は、SRや250cc単気筒のストリートバイクをボバー/ショートチョッパーにするカスタムの人気がうなぎ上りになっていました。
それと並行して、不人気なマシンをベースとして、ガレージビルド感覚の延長線で、自由にバイクをカスタムをするというムーブメントも起きていました。
いわゆる「B級チョッパー」という言葉に代表されるような、粗削りでアンダーグランドの香りをにおわせるカスタムスタイルです。僕はLTDの純正の形が、まさにそのテイストのど真ん中にいるように見えました。
生まれながらにしてのB級スタイル。洗練されていない感じ。
あとはGLの時にも書いた、「人が乗っていないバイクに乗りたい病」は全く治癒していなかったので、そういった視点からもパーフェクトな車両でした。
以上のような経緯もあって、このバイクを購入したいと思うようになりました。
車両発見
そしてネットで探していると、TRカンパニーさんにLTDがあるのを見つけました。
当時から旧車の整備に定評があると評判だったお店でした。連絡を取ってみると非常に丁寧に対応していただき、来店しても整備士さんが親身になって車体の解説をしていただきました。
当時の相場価格よりは若干高めだったと思うのですが、お店のカラーがとても気に入ったので、即決で判を押しました。
(おかげで乗り始めてから9年目に突入しても、消耗品の劣化以外は大きな故障無しです。TRカンパニーさんを選んだのは英断だったと思っています)
ファーストインプレッション
鼓動感が無い・・・・
これが最初に乗ったときの正直な印象でした。
ドラッグスターも弱いながら鼓動らしきものがあり、GLはOHVエンジンと重いクランクマスのおかげで、結構愉快な鼓動を感じながらクルーズできていました。
アメリカンバイクは鼓動がついてくるもの。そう思い込んでいた自分にとって、ひゅんひゅんと軽快に回るLTDのエンジンは、失望感に近い衝撃だったことを覚えています。
「優等生なバイクなんですね」
と、当時の整備士さんに声をかけました。
このエンジンは、回して楽しむ類です。レッドゾーンが9000rpmで刻まれたタコメーターがそれを物語ります。
4000~5000rpmは、流れの良いバイパスの加速では常用するゾーンで、ドコドコ~~ という太鼓音ではなく、ビーン!ビュィーン!と乾いた音を奏でるエキゾースト。
形はアメリカを感じさせるテイストですが、中身はスポーツバイクなんです。まぁそれがジャメリカンですから。
だんだんそれが癖になる
とはいえ、辛抱して乗り続けていたら、高回転を使うと非常によく走ることがわかりました。
この手のバイクの楽しみ方に目覚めてきたのです。
エンジンの回転数が上がっていくに連れて馬力が出てきて、よりパワーの有るバイクにもなんとか食らいついていける。マシンパワーを「使い切る」楽しさを実感することができました。
その一つの到達点に至ったのが、友達と一緒に行った福島ツーリングでした。
キャンプ道具満載で、福島浜通りの山中を駆け抜けたとき、特に、友達のBuellを追いかけ回したときの話です。
もう楽しくて楽しくて。
Buellは7割位の力の入れ具合で、時折後ろを見るような余裕を持って走っていました。ですがコッチは必死そのもの。コッチは馬力を落とさないように高回転をしっかりキープして、ブレーキングもメリハリを付け、立ち上がりで離れないように必死にラインを選んで走りました。
その時の人馬一体となった感じ、バイクをちゃんと操れているという感覚。今でも忘れられないですね。間違いなくLTDライフのハイライトの一つです。
「LTD速いね!」「相当いいペースだったよ!」
なんて言ってもらったりもしました。嬉しかったです。
調子に乗ってサーキット走ったりもしました。
LTDの魅力とは
LTDは見た目のインパクトが強いのですが、ことは走り関して説明しづらいバイクです。ハーレーや国産水冷4気筒機のような、わかりやすい特徴がない分、「何が魅力的なの?」という問に対して答えに窮します。
あえて言うのであれば、普通のバイクだけど、高回転まで回して走ると結構ドラマチックというか、アメリカンらしからぬ走りも楽しめる懐の深いバイク。乗り込んでいけば行くほど、素材自体の面白みがおぼろげながら見えてくる。そんなバイクのような気がします。
その反面、こんな風にロングフォークにしたり、シーシーバーをつけたり、
ツアラー風にカスタムするのも良かったりして、非常に受け入れる幅が広いバイクだと思っています。
強烈なおっさんホイホイ
- 昔乗っていた
- 友達が乗っていた
- 憧れだった
- いいバイク乗ってるね
1970年台後半~80年代初頭にかけて、第一次アメリカンブームを支えたバイクであるだけに、LTDを通ってきたベテランライダーさんは多数いらっしゃいます。
道の駅でお会いしたライダーさん、イベント会場で声をかけてくれた人、道で通りがかった人、バイク屋さん、喫茶店の店主
色んな人に声をかけられました。皆さんニコニコしながら話しかけてくださいます。昔は本当に売れていたみたいですね。今では信じられません。
ずっと乗り続ける予定
終のバイクにする気なんてのはサラサラありませんでした。
ただ振り返って考えてみたら、大型にステップアップするための「ツナギ」だった、というわけでもないんです。
ルックスが気になって買った感じ。純粋ですね。
それが今となっては9年目。もう車検は4回も通しました。
結構長い付き合いになったので、乗り換える気が起きないんですよね~。そして今のライフスタイルにはとても良くマッチしたバイクなので、このまま乗り続ける予定でいます。致命的に何処かが壊れてしまうまではね。
おかげで色んな人とも出会えました。
このバイクでやりたいことはまだまだたくさんあるので、一緒に頑張っていきたいです。
以上です。
過去のバイクリスト
人にどう伝えたらよいのかどころか自分自身で言葉が見つからないこと、そして無意識に感じていることを改めてMINORUさんの言葉で再認識できるこの幸せ感!
そう、そうなんだよ!言いえて妙!
ちょっと跨いだだけでは全く分らない部分がまたねーほら(笑)
ありがとう。表現力がさすがです。
自分には身の丈ほどのバイクです。でももうあと少しだけパワーが欲しいと廻し慣れてくると思っちゃったりw ≦となると440だな!
完成を心よりお祈りいたします。
⇒長野BSLTDさん
コメントありがとうございました。
昔の写真を選んでいて、懐かしいなぁと思っていました。お会いしたのももう五年近く前になるんですね。
36馬力って街乗りは十分で、山も絞り出せばこなせて、高速巡航がしんどいって感じなんですよね。おっしゃるとおり440のパワーとトルクが欲しいです。
楽しみにしていてください。よろしくお願いします。