先日、Facebookなどでかなり昔からやり取りさせていただいている方を経由して、
「旧車を手放したいという人がいる」
という相談を受けました。車両はBSA 441 VICTOR Special(ビクタースペシャル)です。
当BLOGで、引き取り手を公募いたします。
2018年9月24日更新
無事引き取り手が見つかりました。ありがとうございました。
情報のアーカイブとしてこの記事は残して置きます。
もともと50年前に販売された希少な車両の一つではあるのですが、この車両自体が経てきたストーリーが、とても興味深いものでした。
そのあたりも含めて、情報を記載していきたいと思います。
車両について
BSA 441 Victor Special
1964年と1965年のモトクロス世界選手権で、2年連続の優勝を果たしたのが、BSA 441 ビクターのワークスマシンです。
今回紹介する車両は、そのレーサーを公道仕様にした車両です。ヨーロッパではクラシックバイクのモトクロスも頻繁に行なわれ、そこで鋭い速さを見せつけていた一台になります。
車両のSPEC
車両の持ち主は、レストランオーナーであるSさんです。
1966年式の車両になります。
走行距離は4,333mile。
現在250cc登録となっています。
以下車両の詳細スペックを記載します。
エンジン
- 空冷単気筒4サイクルOHV
- 441cc(ボア・ストローク 79☓90mm)
- 圧縮比9.4
- バルブタイミング
- インテーク:開51°,閉68°
- エキゾースト:開78°,閉37°
- チャンピオンN6Yスパークプラグを使用
ミッション
常時嵌合式右足リターン4速。減速比は下表の通り
1速 | 14.20 |
2速 | 8.84 |
3速 | 6.70 |
4速 | 5.36 |
スプロケット歯数
エンジン | 28 |
クラッチ | 52 |
ギア | 17 |
リア | 49 |
寸法
- 全長:2,082mm
- ホイールベース:1,346mm
- 最低地上高:203m
- シート高:812mm
- 全高:1,041mm
- ハンドル幅:812mm
- 車両重量:130kg
- タイヤサイズ:
- フロント:3.25-19
- リア:4.00-18
- ガソリンタンク容量:7.6L
- オイルタンク容量:2.3L
- ギアボックス容量:0.284L
…上記のスペックは、八重洲出版が1968年に出版された、モーターサイクリスト7月号に記載された内容から引用させていただきました。
車両の状態
現在Sさんの東京近郊の倉庫にて保管されています。購入当初から実働状態をキープされていました。
以前ハンドルバーを交換され、オリジナルのハンドルバーは無いようです。
またリアサスがヘイゴンの物に換装されています。
一度レストアをされているようです。
最近の整備としては、2017年にキャブレーターのオーバーホールを実施し、バッテリーを交換をされています。
なお、シート下のオイルタンクから常時オイルがエンジン内に落ちる構造になっているので、エンジン下にオイルパンの設置が必須です。
車両が経てきた歴史
1966年にイギリスの工場で生産され、バルコム・トレーディング・カンパニーが輸入手続きを行い、日本に船で輸入されました。
生産されてから52年が経過した車両です。
特筆すべき歴史としては、先述の1968年のモーターサイクリスト誌に掲載された車両そのものである、ということです。
当時の雑誌の写真がこちらになります。
新車状態のビクターの写真が、そっくりそのまま。出版物としてアーカイブされています。
自分はこんな歴史を持った車両は見たことがありません。
Sさんの前オーナーさんは某卸酒屋のご隠居さんらしく、まだ若かった頃に当該のモーターサイクリスト誌を読み、「この車両がほしい!」と心を突き動かされ、購入されたそうです。
以来、ずっと実働状態をキープすべく走り続けておられました。
ただだんだん高齢となり、御本人もご家族も「もうバイクはいいかな・・・・」と思っていた矢先に転居が決定。その際即座に「BSAをSさんに譲る!」と決断されたとのことでした。
Sさんいわく、
「当時通っていた修理屋さんが同じだった。それからトライアル好き、フランス車好きのワイン好き… という共通点が多数あった。だからどこか安心感があったのじゃないかな」
とおっしゃられています。
現オーナー、Sさんの想い
Sさんもビクターを譲り受けたあと、常に動くように気を配って整備し、できる限り乗ってあげようと努められていました。
ただ飲食店の仕事が忙しくなってきてからは、ほとんど観賞用になってしまっていたのが実情。現在も仕事は忙しくなる一方で、乗る時間もほとんど無くなってしまったそうです。
さらには保管場所の問題もでてきまして、今回車両の譲渡を決断されました。
希望としては、ビクターを日常で、普通に乗って欲しい。とのことです。
観賞用とせず、普段遣いで元気に走らせてくれる人にお譲りできたらいいなと、おっしゃられています。
価格
車両価格は84万円です。
また付属品として、BSA関係の洋書を3冊差し上げます。うち一冊はHaynesのマニュアルです。
「乗る人は持ってたほうがいいですよ、なにかと」というのが、Sさんからのメッセージです。
以下MINORUのコメント:
長期保管された不動車ではなく、実働状態のBSAで、履歴がわかる2オーナー車両です。
しかも50年前から創刊されている、日本を代表するバイク雑誌に雑誌に掲載されたまさにその車両という、非常に珍しいヒストリーを持つ一台です。今現在しっかり整備されており、今後のメンテナンスをする際も、履歴を追った整備が可能だと思います。
そういう意味では、とてもリーズナブルな価格ではないかと思います。
またSさんから頂いたメッセージを読んで、「普段使いしてほしい」という一文に大変共感させられました。
バイク自体に歴史的な価値があるものですと、大切に保管しておいて、晴れの舞台のときだけエンジンを掛ける。またはエンジンをかけるなどもっての外で、積載車で搬入して展示し、また持って帰る、という方もいらっしゃいます。
もちろんそれもバイクとの付き合い方でして、オーナーさんが決めることであります。私が良い悪いなどを判断する権利は一切ありません。
ですが、「バイクは走る機械であるのだから、普段から走れる状態でいることが、一つの理想ではないか」という考えも持っています。
バイクを運動不足にさせず、一緒に走り回って楽しむという付き合い方は、きっとバイクにとっても嬉しいに違いない。そう考えている部分も、私の中に間違いなく有るのです。
だからこそ自分はSさんの一文から、バイクに対する真摯な情熱と、深い愛情を感じたのであります。
連絡方法
購入を検討したい、詳細な情報を知りたいという方は、下記のお問い合わせメールフォームから、
「BSAビクターについて」
という件名で、メッセージを送ってください。やり取りに関して仲介させていただきます。
私も今回の記事作成に当たり、出品状況などを調べたのですが、年に1~2回出るか出ないか、、、、いうレベルでしか市場に出てこないバイクの様でした。
貴重なBSAを購入するチャンスだと思います。興味がある方は連絡をお待ちしています。
心ある方の手に渡り、永く元気にビクターが愛され続けてほしいと、私自身も願っています。
もし読者様の中で知り合いの旧車好き、エンスージアストの方がいらっしゃいましたら、お声がけいただければと思います。
上述の通り、無事引き取り手が見つかりました。
ありがとうございました。
以上です。
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