
どうやって撮影したんだろう。
撮影でのけが人は大人数いて、死者が出てもおかしくない。
そう思わせるほどの、過激で刺激的な映像の数々 狂気に満ちて、匂いすら感じられるほど作り練りこまれた世界観 そこから生み出されるあふれんばかりのカタルシス。

- 映画史に残り、語り継がれるべき作品
- 映画界で豊潤の年と言われる2015年でも珠玉の一作
- アクション映画の枠を広げた名作
- とにかく体感しろ!
これ以上ないほどの好意的なレビューの嵐
「マックスに惚れた」
と、映画フリークの嫁に言わせるほどの、マックス役のトム・ハーディの熱演。 素晴らしい作品でした。
マ ッ ド マ ッ ク ス 怒 り の デ ス ロ ー ド
僕がこのブログで映画について書くことは殆ど無いのですが、書きたい衝動に駆られてしまいました。
それほど衝撃的な映画だったんです。 前評判は賛否両論でしたが、宇都宮の公開初日のレイトショーで「満席」という奇跡が起こりました。
宇都宮で満席ですよ。
東京なんてどうなっていたんでしょうね。想像だにできません。

追手から逃げるマックスとその仲間たち(実際はもう少し軸があるけれど、基本的にこれ)というシンプルなストーリー。 そ
の中で、ハチャメチャなカーアクションが炸裂したかと思えば、心に染み入るような静寂も同居する。まさに動と静がぎりぎりのバランスで共存して視聴者を飽きさせない、本当に無駄がない作品でした。 …これ以上の細かいレビューは専門のブロガーさんに任せます。 で、僕はこの映画を、ひとりの車・バイク好き という視点から見て見ようと思います。
本当に面白く、そして新しい発見が、いたるところから見つけられた映画でした。
●一つ目は車
この映画を見てしまったことで、今まであまりさして興味がなかった、ホットロッドカスタムというものが異常にかっこ良く見えるようになってしまいました。

今まで自分はホットロッドカスタムに対して、特別な感情を持っていませんでした。 正直な気持ちを言うと、あまりかっこいいとは思わなかったんです。。

面白い形をしているな~ すごい改造だ。 あんなマフラーはうるさそうだな。。 その程度でしか見ていなかったんです。
ですが、 怒りのデスロードに登場する、

こいつとか、

こいつとか、

こういう車両を見たとき、 まさに見た瞬間から「うおお!なんてかっこいいんだ!」という衝撃が体を突き抜けました。
そして自分は、これまホットロッドという車両を、 「走る車」としてではなく、「過激な装飾をほどこされた置物」としてしか見ていなかった事に気づいんたんですね。

怒りのデスロードでは、こんな車両が走りまくります。 単なるホットロッドではなく、悪路走行をクリアするためにリフトアップした上で、理由はよくわかりませんがケツ上げ。
そしてバルーンタイヤを付けたりなどの、大掛かりなカスタムを施された車両が多数登場します。 基本的に戦闘用車両なので、竹やりマフラーに装甲板を取り付け、トゲトゲで敵からの攻撃を防ぎ、箱乗りや立ち乗りは当たり前。パワーショベルをアタッチメントしたピックアップまで。

そんなアナーキーな乗り物が、左右にドリフトしながら飛んだり跳ねたりして、画面を所狭しと疾走している映像。
そして撮影者は世界最高峰の映像集団。 本当に衝撃的でした。べらぼうにかっこよかった。 ホットロッドが欲しくなりました。傍から見たら、小さな子供が珍しい物を面白い物を見るような目で、ずっと画面を見つめていたと思います。
新たな種を植え付けられました。この手のカスタムカーも、やっぱり走ってなんぼなんですね
。ショーに展示してあるだけでは、魅力の1/5も伝わって来ないだと。これはものすごい発見だと思いました。車は走ってこそかっこいい。
●もう一つがバイク
この映画を見て、ロングスイングアームのバイクに対する認識も、180度変わりました。

2000年前後に、ロングスイングアームのTWやFTRが町を席巻したのは記憶に新しいと思います。

これまた当時の僕の意見なのですが、何がどうなったら、あれがかっこいいと感じるのだろう?と思っていました。エアクリボックス外したスカチューンというのも、エンジンぶっ壊しそうで本当に怖い(コレは今でも思う)。 でも本作に、砂漠の中を荷物満載で駆け抜ける、ロンスイのマシンが登場するんです。

これ

そしてこれ。
痺れました。写真が見つからないんですが、薄暗い砂漠の中をマックスがこれに乗って突っ走るんです。
映像として映ったのは5秒ぐらいだったんですが、目に焼き付いてしまいました。 あぁ~こういう事だったのね、と。 ロングスイングアームの役目は、砂漠のような滑りやすくて走りにくい場所を長距離走行するため。 まずブロックタイヤでしっかりグリップさせる。そしてスイングアームを伸ばした事でホイールベースを確保し、直進安定性を向上した仕様で、疲労感を限りなく抑えながら走る。
うん、理屈がつながった。
そういう各ピースがバチッと噛み合った時に、これかっこいいなぁ…という感情が染み渡ってきたのを感じました。
自分もコレで砂漠を走ってみたい、、、という願いも同時に。

シンプルで単純な機構で、複雑なデバイスには頼らない。
軽量な美点は限りなく生かしつつ、走破性が高く長距離走行にも向いた車両にカスタムする。そういう必然性から生まれた構造。それがロンスイ。 だから、砂漠というロケーションにおいて、めちゃくちゃかっこ良く見えたんだと感じています。 渋谷原宿、そして九州の片田舎まであの手のカスタムが跋扈していましたが、違和感というかなんとも場違いな印象を感じていました。
その理由は、その使われ勝手が、マシンの成り立ちから大きく外れていたからなんだね。つまり本物感が欠如していたから。 15年来の疑問が、めちゃくちゃ腑に落ちました。 そして本来の魅力を感じ取ることが出来ました。



しかしこの映画に出てくる砂漠バイク、どれもこれもかっこいいんだよなぁ。。
●思考の枠を拡大させる映画
「アクション映画の枠を広げた」 というレビューが有りましたが、これは完全に同意見です。
まず細かな設定の作りこみが半端じゃない。

「劇中では全く触れられないキャラクター設定」が、劇場のパンフレットやWikipediaなんかに、膨大な文章量で記載されていました。
その量たるや、10秒くらいしか画面に出てこなかったキャラにも、生まれてから成人するまでのドラマが数行にわたって書かれているほど。 実際の映画製作ではふつうのコトかもしれません。濃密な人間ドラマを描くサスペンスやラブコメとかならいざしらず、この手のアクション映画においては前代未聞じゃないかと感じました。

そして次々出てくる突飛な発送・思想。 それらが僕らに襲いかかり、それが爆笑を呼び起こすとともに、思考の枠をバッキバキと広げていってくれました。

例えばマックスを追う武装集団は、スカルを崇拝するカルト教団的な価値観で結束していて、スカルの刻印をしたハンドルを手に取り戦います。
そして神格化されたリーダーのために戦って死ぬことで、生まれ変わって英雄として祀られる、という思想。 決死の覚悟で突き進む直前に、銀色のスプレーで口の周りを塗って、「魂をクロームに染める」儀式を敢行。大往生を果たすと仲間から、「よく死んだ!」「彼は英雄の扉に招かれた!」と評価される。

めちゃくちゃ漫画的で、ある種の日本的な価値観。
監督は日本のAKIRAを初めとするコミックに多大な影響を受けたと語っていますが、ここまで直接的な表現って、外国人にはどんな風に受け止められるのかな?ととても興味を掻き立てられました。

それから、砂漠の中を車両で編隊を組んで行軍する際、士気を高めるためか太鼓を叩く人を荷台に載せたトラックがあるんですが、

その反対側にはネックから炎を吐くギターを持つギタリストが、てんこ盛りのスピーカーの前で生演奏。
行軍中のBGMがまさかの生音だったという衝撃。
この発想はなかった。出てきた瞬間に爆笑しました。 ただこれは一発ネタの出落ちじゃない。 一回マックスが武装集団を撒いて引き離し、その後立ち往生してしまった際に、はるか遠くからドラムとギターの響きが聞こえてきて全員凍りつく、という巧みな演出にも一役買っていました。 こういう小ネタが場面転換の伏線になっているのがいちいち凄い。 そして先に述べたように、出てくる車両が車両が車両が、想像の壁をぶち破る凄さ。

こんなデカイタイヤでリフトアップして、車両を2階建てにするなんて想像もできなかった。
極悪です。極めて悪いというのを形にした車です。
これ作ってるんだものね。CGじゃないの。
制作費の100億円を、ほとんど車の製造費と火薬に使ったとかいう噂が流れていますが、まんざらじゃないかもしれません。

速度が出ない!となると当然のようにニトロを使うし、それでもダメだ!となったら直キャブのバタフライに直接ガソリンを吹き込んで加速したりと、車の原理がわかる人間からすると爆笑必至の場面もたくさん出てきます。

そして極めつけが、小型戦車の上にダッヂ・チャージャーのボディを載せた戦闘車両。
これを見た時は、
「うぁーやられた!」
「こんなことやっていいんだ、その発想はなかった」
という悔しい気持ちすら抱きました。 新しいものって、 これまで有った既存の異なるもの同士を組み合わせて作る、 というのが殆ど。 だからこそ、想像だにしなかった組み合わせを提示され、 単純にびっくりしてしまったんです(笑
うー悔しい。 これぞ、「思考の枠」が広がった感じです。 型にはまらない実例を見せられると、本当に興奮します。
●まとめ
長々と書きましたが…

ぶっ飛んだ映画で、間違いなく伝説的な作品として語り継がれると思います。
車離れを解決するための、起爆剤の形はこれかもしれない!
と真剣に思いました。
きっと、ダークナイトとかアバターとか、あのへんに肩を並べる作品になるでしょう。 ぜひ映画館でこの迫力を体感して欲しいです。できればIMAX 3Dで。
ヤンチャな子供の気分になって、是非映画を楽しんでほしいと思います。
以上です。
いやあ読み応えある記事でした。
すっかり映画見たくらいに堪能しました。
ミノルさんおっしゃるとおり、わたしもこういった改造車にはまったく興味がなかったんですが、少し気になるようになりました。
この記事で映画を観に行きたくなりました(笑)
ロンスイについてですが、ヒルクライムレースで走っているのを見てびっくりした覚えがあります。良かったら見てみて下さい。
⇒ケビンさん
コメントありがとうございます。
ぶっ飛んだアクション映画でした。
車もバイクも走ってなんぼだと感じさせられましました。カスタムカルチャーって理解し難い部分があるようにみえるんですが、その根底の文法とか、なぜそうしたのか?という意図などを紡ぎとることができたら、途端に魅力的に見えたりします。
これからIMAXで二回目の視聴に行ってきます。
⇒すふぃもさん
ぜひ映画館で見てください。
素晴らしい作品でした。
ヒルクライムレース!
なるほどそっちが起源か!
ぜひ見てみますね。情報ありがとうございます!