2015年のパイオニアランに集まったバイクたち。
かなり数が多くなったので、2部構成でお送りします。
●HONDAのスモール達
この辺りの車両には明るくないのですが、50ccとか55ccとかのカブやベンリーのご老体達。
上の写真で一番左の白いのはスポーツカブですね。タンクだけで、全然違ったバイクに見える好例。
シートもベロアみたいな素材になっていて、高級感高し。
CB72辺りのYパーツの表皮がこんなかんじだったけど、これって純正オプション何でしょうか? つくづくこういうパーツを見ると、バイクのパーツのデザイン意匠って1960~70年代のはじめにはもうあらかた出来上がっていたんだと感じます。
大きなタンクと大きなシート。
特にシートは、アエルマッキやBAS向けに、BATESやジュリアーリが出していたスクランブラーシートに近いものを感じます。乗り心地良さそうです。それからリアウインカーかっこいい。
こっちの小さいのは、タンクの形状がひと世代前かな? プレスタンクも面白いですね。
大量生産を考えて左右分割式にして効率UP。 ホンダが凄かったのが、来るバイク需要が伸びることを察知し、徹底的な効率アップをしていったこと。
そして自社の製品が他社よりも優れている!という確固たる「売れる自信」があったんでしょうね。効率上げた分だけ売ってやるぞと。そりゃぁ50ccで5馬力近いパワー出して、なおかつ21世紀に至っても超えられない最長不倒な超燃費&超耐久エンジンですからね。そりゃ売れるわ。
装飾も面白くて、通称ソーメン付きのHMマークグリップ。
これも当時のオプションなのかな? リアキャリアには小物入れとして、ホンダの純正ウルトラOILの赤い缶が括りつけられていました。 この会場だと凄くおしゃれに見えるけど、まちなかではドウ見えるのかな…。「雪印乳業」的な木箱のほうが無難かもしれない。。
金属をプレスしたエンブレムと、金属素材で作られたウインカーです。
別に樹脂でもいいし、エンブレムなんて装着してなくても別に機能的に問題はない。だけど、こういう部分にお金がかかっているってほんとうに素敵。細部に気を抜いていないものにこそ、所有欲が生まれると思うんです。 車やバイクが、皆憧れる高嶺の花の高級品だった時代。 その欲求を満たすために、安っぽいもので誤魔化そうなんて発想は、少なくともホンダにはなかったんだと思います。
そういう時代が有ったんだなぁと、こういう部分からも感じ取れる気がします。
●HONDA CB72
おっそろしく綺麗なCB72。2台いました。
それぞれTYPE1とTYPE2だったのが面白かったです。 あまりにキレイだったので、あんまり写真撮れていません。
メッキも何もかもピッカピカ。完全フルレストアされたんでしょう。
前後エキセルリムに換装され、リアサスもなにかの有名メーカーのものに変わっていました。 シートはYパーツですね。これだけで10万円はくだらないはず。 このマシンの周りはコンクールドエレガンスの雰囲気が漂っていました。
●HONDA CB750
でかいフェアリングとサイドカーが付いたCB750。
ソロシート仕様になっていて、珍しいテールカウルが付いていました。 皇居を警備する、「皇宮警察」のバイクが黒バイとよばれていて、通常の白バイの色違いの他に、サイドカー付きの車両を使っています。 今はゴールドウイングGL1800のサイドカーなのですが、大昔にCB750を使っていたという話を聞きました。
ひょっとしたらそのレプリカ仕様?もしくは払い下げの本物?? いずれにしても、隣に居たハーレーのサイドカーよりも、ただ者ではない感が漂っておりました。
ちなみにどうでもいい話なんですが、このCBを調べるために訪問した皇宮警察の採用情報ページが結構面白い。 Q&Aとかキャリアプランとか、下手な民間企業よりもしっかりして、なおかつエンターテイメント性に溢れる作りになっております。
●ハーレーダビッドソン XLCR
もはや説明不要なレベルのこの車両。
ハーレーがボーリング屋さんのAMF社傘下だった時代に、 1977年の1年間だけ作られた純正カフェレーサーです。 写真では何度も見たことが有ったのですが、思い返してみたら本物を見たのは初めてでした。
これは格好いいバイクだ。。
XLCRいいよね~!なんてみんなが口をそろえる理由がわかりました。
タンクからシートに至るまでのエッジの効いたラインとか惚れ惚れしました。 そういえば僕のZ400LTDもこういう感じにカスタムしたいなぁなんて妄想していた時期がありました。 その時は色々かなり真剣に思索を巡らせたのですが、シートフレームが純正でロワリング加工されているため、どうにもこうにも対処できず断念した記憶があります。
でももう一度これを見ると、何とかできないものか…とまた考えてしまいそうな気持ちになります。
●モトグッツィ 車名不明
パイオニアランを主催されている方が持参された車両。
1922年式とか言われていました。大正時代ですよ。。
このバイクは全体の塗装が剥げてサビサビになっています。
でも100年ちかく昔の鉄ってすごいもので、こんな状態になってもまだまだ走ってるんです。 奇跡的にネック周りだけが色が残っていて、緑色だったことが判明しました。 それで色々検索をかけてみたところ、
たぶんMOTOGUZZI Normaleというバイクではないかと思いました。
このバイク、フライホイールがむき出しです。ハーレーのオープンプライマリーカスタムどころの騒ぎではない危険な構造ですが、当時はこれで普通だったんでしょう。
「このバイクのいいところはですね~」とオーナーのお祖父様がおもむろにスパナを手に取り、 躊躇なくフライホイールに一撃。すると「ちーーーーん」という甲高く密度が高い音が鳴り響きました。
「こういう凄くいい音がするんですよ~」
パイオニアラン深いなぁと思いました。
それから当然なんですがこのバイクも実働で、耕うん機のようなポトンポトンという音を響かせながら走ります。
そしてナンバープレートが謎。「茨」と大きく書かれていて、後は番号3桁。戦前のナンバーでしょうか?
走るだけでも十分すごいんですが、オーナーのおじいさんのドライビングテクニックが輪にかけて凄い。
何年ものか分からないタイヤでおもいっきりテールスライドさせて、80年以上前に生産されたフットペグを躊躇なくアスファルトに接触させながら曲がっていました。 いくらリジッドフレームだからといって、あんな曲げ方しなくてもいいと思う。 これからも大切にして下さい。
●BSA 車種不明
これも先ほどのモトグッツィのおじいさんが持って来られた車両。
こちらも大正時代に日本に入ってきたマシンだそうです。 1~2年前に、戦中の金属回収が有った際にどうにかこうにかして逃げ延びた車両なんだ、みたいな話を聞きました。
プッシュロッドが見えますね。 今回は静体展示でしたが、去年は雨降りの中走っていましたこのバイク。
結構な雨で水たまりもできている中、これまた何十年前に作られたかわからないようなタイヤで、思い切りテールスライドさせて曲がっていた姿が目に焼き付いています。 あのおじいさんはこんなイベントを主催するくらいですから、元々エンターテイナー気質があるのかもしれません。
BSAの証。銃剣が装着されたライフルを3つ重ねたマークが刻まれています。
そして誇らしげに刻印された3速ミッション。この1910年台は変速機構が存在せず、スプロケを交換して走っていたなんて話も聞きます。 その次代から考えると、3速ミッションというのは本当にすごい発明、進化だったんでしょう。 こんなものが実働で残っているだけでも、ほんとうに素晴らしいと思います。
●発動機
数年前から発動機の展示が併設されていました。
クレーンで吊るさないと下ろせないような、子供の背丈くらいはあろうかという巨大な発動機が回っていたんですが、今年はかなり小型の発動機が10数台来ていました。これはこれで可愛くて好きです。
とことこと、一定のリズムで煙を吐き続ける発動機。
ここにくると、発動機が欲しくなってしまうので危険です。
●フォードトラクター
大柄なフォードのトラクターが止まっていました。
オーナーさんの気配りで、アイドリングしていました。 煙突からモクモクと煙を履いています。
トラクターって、ミッションの上にまたがっているようなスタイルが凄く明確に見て取れて、形状自体もとても無骨なので本当にかっこいいです。大好き。
テールがデュオタイプのランプになっていたのもおしゃれだなと思いました。実際の様子を見ると、アイドリングの回転に合わせてボワッ ボワッ とテールライトが明滅していたので、発電している様子が伺えました。
群馬町役場で働いていたようです。
長年お勤めして、引退後はこうしてイベントに出かけているのでしょう。 ブルーのボディと赤のホイールなんて相当おしゃれです。 末永く余生を過ごして欲しいです。
これで車両の紹介は終わりです。
次の回で、僕にとってとても印象的な出会いが2つあったので、 それを記事にしたいと思います。 続きます。
●全体の感想はこちら
●車両まとめその1はこちら
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