ネジ山が舐めてしまった時外す方法:対処編①

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ねじやまなめた

いままでも何度もやりましたが、またやっちゃいました。。 

自分のバイクで、会社の製品で。

 

この脱力感、徒労感、ストレスは耐え難いものがあります。

 

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今回は、ポイントギャップを調整しようとしていたら、 固定しているネジを2本とも思い切り舐めました。

貫通ドライバーで叩きまくってもどうにもなりません。

 

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よく見たら前回までの調整で、 ベースプレートのネジ山も仮死状態にしてたんだな。。

ここはエンジンからの熱を直接で受ける部分なので、ある意味「焼き」が入ったような状態になってしまったのかもしれません。

 

この記事の目的

硬いネジ、固着しちゃったネジ、錆びたネジ、取れないネジ、  

  • 硬いネジを外すにはどうしたら良いのか?   
  • ネジ山が舐めてしまった場合の対処法は?     
  • もうぶっ壊してもいいから外したいんだけど?

こんな思いは一度は整備していたら誰もが考えたはず。

何度も同じ間違いを繰り返す自分への戒めと、 情報共有になれば結果的にいいなと思い、 記事にしてまとめたいと思います。

 

 

 

1.ケミカルを使う。  

潤滑剤

基本中の基本。

KURE 5-56を塗布して、ネジ山の潤滑を高める。

ネジが硬い原因がサビや腐食だった場合、先に潤滑しておけばコレで大概解決します。なめたネジも、最後の”ひとかかり”が生きていたら外れることもありますね。 強敵には、塗布後一晩待ってから作業するとなお良いです。

ドアのヒンジがキーキー鳴いたり、網戸の滑りが悪かったり、 鍵の回りが悪い場合も5-56。一家に一本5-56(公式HP)。

 

お金に余裕があれば、WAKOSのラスペネのほうがおすすめです。効きと持ちが違います・

 

 

 

ネジ滑り止め防止剤

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それで不安だった場合は、 ネジ山の滑り止め剤を塗布するのがオススメ。

 

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砂鉄のようなグリスが、ネジ山とドライバーの食いつきを良くします。

 

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まぁ子供だましか気休めか、といった印象を持っていました。

ですがこれを塗ってドライバーをネジ山にかけた瞬間… 「ジャッ…」という砂を噛み潰す感覚がドライバー越しに伝わってきました。 この得も言えない心強さ

 

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「あと20%増しのトルクをかけたい!けどネジ山が滑りそうっ…!!」

という限界状態の時に、ぐっとドライバーが噛んでくれるんです。

この安心感は想像以上なものでした。

 

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このネジはそのままだと舐めかかったんですが、この滑り止めを使うことで外すことができました。

ネタ的に買ってみただけだったんですが、 使える子だったんで嬉しいです。

 

 

 

 

2.道具を変える、特に専用工具を使う。

貫通ドライバー

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貫通ドライバーなどでネジ山を叩き、 強制的にネジ山を復活させて外す方法があります。

 

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舐めかかったネジを、 叩いて叩いて無理やりネジ山を作り、 ドライバーをがっつりくこませて、引っ掛けた12番のメガネで回す。

このメガネレンチを引っ掛けられるのがミソで、この機能があると無いとでは工具としての機能性がだいぶ変わってきます。

基本的にドライバーの力のかけ方は、「押し8割:回し2割」という感じ。 メガネをかけた場合、握力を全力で押す方向に使えるので、 ネジへの力が逃げにくいです。

 

 

プラスがダメになったら、今度はマイナスドライバーを使って回します。

叩いて叩いて無理やりマイナスネジ山を(以下略

この方法で外せたことが、自分は2回ほどあります。

 

 

ただ今回のネジは死にすぎてNG.

あまりエンジンを叩きまくるのもいい気分じゃないので、 別の方法を考えます。

 

 

 

ドライバーを諦めて、挟む系の工具を使う。

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構造的に挟めるスペース、隙間がある場合は、 挟んで回すのも有効な手段です。

簡単な方法では、ラジオペンチやプライヤーではさみます。

 

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より確実性をもたせる場合は、バイスグリップを使うとグッド。

プライヤー閉じた時の隙間をネジで設定し、目的のものを適切な隙間で挟み込んで、そこから更に握りこむと「ガチャン」とロックされます。

ロックされると、グリップのレバーを動かさないと開きません。 考えた人天才だな、と思う工具の一つ。がっつり挟んで回すことが出来れば、ネジ山の状態関係なしに ガンガン外すことができるでしょう。

(固着しきってたら、”ネジ山だけもげる”という  ホント最悪中の最悪の事態が起こることも考えられますが…)

 

 

なお一般的にこの手の工具はバイスグリップって呼ばれていますけど、これって “宅急便” とか “サランラップ” みたいなのと同じで、 商品名が固有名詞化してしまったものです。

アメリカのピーターセン社が作っている物のみ、バイスグリップを名乗れます。

米国製のくせに足元見てるのか、小さいサイズでも3000円くらいします。高いだけあって作りもしっかりして、製品自体はいいんだけどね。

 

 

 

それでもだめな場合の最終手段

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手をつくしましたが、このポイントブレーカーのナットは外れませんでした。

相当強敵です。

 

また、

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「・・・回転させるスペースあるなら苦労しないんですけど」

 

という状況もあります。

今回のやつもそうで、ポイントを固定しているネジや、 スイッチボックスの中で舐めたネジなんか、 ホントに回すスペース皆無。

プライヤーやペンチすら入んないのよ。。

 

そんな方へ紹介するのが、このスペシャルツール。

 

 

 

それがネジザウルス

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ふざけた名前ですが、 ネットでの評判が抜群で、ファンが続出しているツールとの噂でした。

一度使うとやめられない!というやつですね。割りと真剣にそう思います。

…やめられないほどネジが取れない状況というのもどうかと思いますが。

 

 

 

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ネジザウルスの最大の特徴はコレ。

普通のプライヤーは横溝しか入っていないのに対し、ネジザウルスは縦溝が入っています。

縦溝の入れ方と、プライヤーの歯の形状を最適化して、ネジをしっかり掴んで離さない構造になっているようです。 厚みが1mm程度の低頭トラスネジでも、このネジザウルスでは取り外せるとか。

 

 

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その威力のほど、ポイントの調整ネジ部分で、本当にこのツールが使えるかどうか試してみましょう。

 

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  • 手順1 :55-6をかける。
  • 手順2 :挟む。グリップを握る。  
  • 手順3 :回す。

 

グググッ バキッ!

 

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あっさり外れました。

すげー! なんだこれ、すごい簡単に外れたぞ!

 

 

びっくりしたのが、噛みあわせて回す時のリジット感がすごい事。

こんなに強く噛み合うんだ!とびっくり。

なにげにグリップの出来が良くて、微妙にしなるのでしっかり力を込めることができました。”適度な握力”で掴めば、「ああ、コレは外れそう」と思う確信めいたものを感じることができました。

 

回転方向にトルクをかけた時にも、滑る感触を微塵も感じず、何より良かったのが、今まで歯が立たなかったネジが回った時の爽快感。気持ちいいんです。

 

すげー。

なんか感動できる工具に出会えて嬉しいです。

 

 

 

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奥には刃もついているのでニッパーとしても使用可能。縦溝が死なない程度だったら、普通のプライヤーとしても使えます。

 

奥まった場所でドライバーに力をかけづらい場所などは、 いっそのこと最初からこいつで噛んだほうが効率がいい場合があるかもしれないですね。

 

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あとなにげにグリップが、バーチャロンを彷彿させてかっこいいw

このデザインを採用させた担当者さんスゴイな。 デザインだけでなく、握り具合もしっとりしていて素敵です。

 

 

 

 

 

2017/11/3追記

最新作で、ネジザウルスリキッドと言うものがあるようです。

先ほど紹介したネジを食いつかせるすべり止めの、Engineer純正のネジザウルス対応品。

サビを落とし、強力に潤滑し、ネジはずしをアシストしてくれます。なにしろ除錆力が圧倒的だとか。レストアとか重整備をする際は必携ですね。

 

 

 

あとバイスグリップも出たみたい。

エンジニア製のバイスプライヤー・個人的にかなり待ち望んでいたやつです。

先端がネジザウルスの特許構造になっているのが素晴らしいですが、更にグリップがメタルでは無くゴムになっているのが更に良い。ネジをてこの原理を使って一回挟み、力を掛けやすい方向に持ち替えて回せるアドバンテージは相当強い。Amazonでの評価もすごく高いです。

工具箱への必携アイテムが一つ増えました。

 

 

 

その他の手段

後は、逆タップを切るとか、ネジの頭に金属棒を溶接するとか、いろんな手段があります。

だた自分がやったことがないことと、難易度が跳ね上がるので、ここで書くのは割愛します。

道具もいっぱい買わなきゃならないしね。

 

このレベルまで自体が悪化してしまったら、素直にバイク屋さんや整備工場に持っていきましょう。

 

 

 

まとめ

以上、長々と外れないネジを外す事を書きました。

 

今回はネジザウルスにだいぶ救われました。

読んでいただいた方の参考になれば幸いです。

 

↑最新版で黄色が出たみたい

 

 

 

2 件のコメント

  • 怖いですね~
    頭がもげてネジ穴に根っ子が残っちゃうと
    「あ~」面倒せえってなりますね。
    ドリルで細っい穴空けて逆タップ掛けられる位太さがあれば良いけど…
    熱を掛けても大丈夫な部位は、なめて工具が掛らなくなったネジに工具なり鉄棒なり溶接しちゃって外すことも有るけど…
    業界ではネジザウルスなんて専用のペンチみたいなもんも見かけるなあ。
    …でこの後どうしたんだろ?
    う~気になる~
    ところで経験上締める時は適切なトルクが必要だからあれだけど、緩めるだけならインパクトを使った方が部品もネジも痛めずに人力より遥かに簡単に外れますね。回転の芯が決まるからね。力が逃げない。
    ただの電動ドライバーでは無くてインパクト対応のビットを差したハイボルトなインパクトドライバーは手放せません。

  • ⇒長野BSLTDさん
    どうもです。
    そのネジザウルスが自分の答えでした。
    というか溶接とか逆タップなど、自分が言いたいことを先に答えられてヒヤヒヤしました(笑 先をいかれてしまいましたね。
    あのツールいいですよ~。
    工具箱に1個入れておくのをお勧めします。
    ハイボルトな電動ドライバー欲しいですね。
    ただ嫁から軽量な掃除機を買うようにせがまれているので、差し置いて電動ドライバーなぞ買った日にはバイクのボルトというボルトを緩められているかもしれません。

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