グラストラッカーの燃料フィルター装着と、コック・タンクの一斉交換

社外のNIBI製キャブレター(リンク)とスーパートラップマフラーを使い、どうにかこうにかセッティングを出そうと四苦八苦していたときのこと。そもそも「セッティング以前の大前提」として、燃料供給系統に重大な不具合が潜んでいることに気づきました。

結論から言うと、ガソリンタンクの内部が錆びまくっていました

 

ある意味必然といえばそうだけど・・・

25年前のバイクであり、ほぼ不動状態に近いまま眠っていた個体ですから、こればかりはある程度仕方のない部分ではあります。しかし、現実は非情でした。

異変に気づいたのはタンクの口から見える内部でした。白色に浮き上がったうろこ状のタンク内壁。そして黒い粒子。

「……あぁ、これは錆だ」

頭を抱えていても始まらないので、まずは自衛策として燃料フィルターを急遽購入し、ホースの間に割り込ませることにしました。

 

フィルターには一般的な「ろ紙タイプ」と「焼結金属タイプ」がありますが、個人的にメカニカルなルックスが好みなので、今回は焼結金属タイプをチョイス。ボディが透明なので、ガソリンの流れる様子や異物の堆積状況がひと目で確認できるのが美点です。

 

ホースを適切な長さにカットし、位置を調整してドッキングしました。

上の画像ではキャブレーターが純正に戻っていますが、最初に取り付けた段階ではNIBIキャブがついていました

 

よし、これでひとまずはキャブへの異物混入は防げるはず、とセッティングの試運転に戻ったのですが……その直後、バイクは無情にもストップしてしまいました。

 

錆が引き起こしていたボトルネック

確認してみると、なぜかキャブへガソリンが全く供給されていません。 燃料コックを何度かひねってみても、ホースへガソリンが落ちてくる気配はなし。もちろんガス欠ではなく、タンク内にはまだたっぷりとガソリンが入っています。

「嫌な予感がするな……」

重い腰を上げてバイクを自宅まで押し歩き、ガソリンタンクを降ろして燃料コックを車体から取り外しました。グラストラッカーのコックは比較的簡単に分解できる構造なので、恐る恐る内部を開いてみると、そこには目を疑う光景が広がっていました。

 

ガソリンの流路が錆で完全に埋まっていたのです

例えるなら、出汁を取った後の「鰹節の粉」のような赤茶けた物質が、内部にこれでもかと大量に堆積していました。……これはもう、コックの掃除うんぬん状態ではありません。

 

この瞬間、燃料タンク自体の抜本的対策が不可欠であることが確定。
購入当初から「いつかはやらねばなるまい」と頭の片隅で覚悟はしていましたが、やはり現実から逃げることはできませんでした。

 

過去の経験と、あえて「中古タンク」を選ぶ理由

実は、ガソリンタンクの錆落とし自体は過去に経験があります。 かつて所有していたホンダのストリーム(※あの古い3輪スクーターです)のタンクを修復した際、タンクのさび落としクリーナーで錆を落とし、仕上げに米軍でも使われているという逸話を持つ超強力なシーリング材「POR-15」を流し込んで、内部コーティングを施したことがありました。

ストリーム50 三輪スクータータンク錆取りレストア作業

 

今回もその手法でいくか、と一瞬考えました。

しかし、このタンクが一体どこまで深く錆びているか分からない上に、強力なケミカルを買い揃えるだけでもそれなりの金額になります。おまけに現状のタンク側面には小さなエクボ(凹み)もある。 何より、もうめんどくさい。
天秤にかけた結果、それだけの手間とコスト、そして失敗のリスクを背負うくらいなら、コンディションの良い中古品にそっくり載せ替えた方が精神衛生上も良い、という結論に至りました。

 

そうと決まればヤフオクの出番です。幸いなことに、色さえ選ばなければグラストラッカーの純正タンクはまだまだ市場に流通していました。同色・同グラフィックの良品を、1万円ちょっとという納得のいく金額で落札。
これもマフラーの時と同様、あと数年も経てばまともな個体は一気に姿を消すはずですから、タイミングとしては本当に滑り込みセーフでした。

届いた中古タンクは、いったん内部を水洗いして錆の出方をチェックし、布団乾燥機を突っ込んで丸一日かけて完全に乾燥させました。見える範囲に錆はなく、内部のコンディションは合格点。表面に小傷や小さな点サビはありますが、そんなものは実用上、目をつぶれば済む話です。

 

ただ、タンク側面に「elf」のステッカーが貼られていました。elfはフランスのTotalが保有しているオイルブランドです。
個人的にあまりレーシーすぎるデザインは趣味ではないのですが、剥がそうと試みたところ、恐ろしいほどの粘着力で強固に固着しています。無理に剥がして塗装を痛めるのもバカらしいので、これはグラストラッカーからの「まぁ、このくらいは許容しろよ」というメッセージだと思ってそのまま受け入れることにしました。

 

前オーナーの「諦め」を察する

ちなみに、燃料コックに関しては、前オーナーが「おまけ部品」として車載してくれていた中華製の新品代替コックがあったため、今回はそれを活用して組み立てることにしました。

幸いにしてピッチやシール構造なども完全にマッチしており、ねじ止めのみですぐに交換できました。

 

こうして振り返りながら文章を書いていて、ふと思ったことがあります。
前オーナー氏がこのバイクを手放した本当の理由。オークションの文面には「他のバイクの面倒を見るのが忙しくなって……」といったニュアンスのことが書かれていましたが、本音を言えば、この「次から次へと溢れ出てくる整備タスク」の多さに、途中で心が折れてしまったのではないか、と。

一つひとつの作業は部品交換で済むレベルですが、いざそれを自分で手配し、道具を揃え、作業の手順を整えるのは、忙しい日常の合間を縫ってやるには相当タフな作業です。その気持ちは、いま泥沼にいる僕には痛いほどよく分かります。

 

部品がそろえば取り付けは簡単

載せ替えの取り付け作業自体は、ボルト数本で留まっているだけなので至ってシンプルです。 給油口のタンクキャップだけは、鍵が2本になる煩わしさを避けるため、元のサビサビタンクから純正キャップを移植しました。これで今まで通り、メインキー1本でイグニッションもタンクも完結します。

燃料フィルターの新設、燃料コックの交換、そしてガソリンタンク自体の刷新。 この3つのステップを踏んだことで、我がグラストラッカーの燃料供給系統は、ようやく信頼できるレベルへと生まれ変わりました。

 

血管が綺麗になり、純度の高いガソリンが滞りなくキャブへと送り込まれる準備はできた。 これでようやく、あの中華パチモンPWKとの「本当の戦い(セッティング)」の土俵に立つことができます。

 

  • 作業日:2025年12月

  • かかった費用: 

    • 燃料フィルター:650円

    • 燃料ホース:850円

    • タンク:11,600円(さび錆タンクは1円出品で出品し、500円くらいで売れていきました)

 

 

↓グラストラッカーの整備記録をまとめたページ

ヤフオクで買ったグラストラッカー 公道復帰に至るまでのまとめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です