グラストラッカー 社外NIBBIキャブレーター(パチモンPWK)の調整トライ

我が家のグラストラッカーに装着されていた、NIBBIレーシング製のキャブレター。 そこには誇らしげに「Designed by Italy」の文字が刻まれていました。

「イタリアでデザインした」ということなのでしょうが、つまるところ製造しているのは中国ですし、元を正せば京浜(KEIHIN)の名機・PWKキャブレターに色を付けたような製品です。

 

 

そのカラーリングも、どこかヨシムラ(YOSHIMURA)のTMRキャブを思わせる雰囲気があり、要するに「業界の良いところを適当にツギハギした」ような、そんな佇まいでした。まあ、その辺りは「大人の事情で察しろ」ということなのだろうと、僕は冷ややかに眺めていました。

ただ、この「パチモンPWK問題」は、実は掘り下げていくと非常に根が深いのです。

 

 

パチモンキャブの歴史

中国のメーカーが勝手に京浜をコピーした製品は、一時期から世界中でゲリラ的に売られるようになりました。

「OKOキャブレーター」など様々なブランド名が存在し、日本でもカスタムショップが取り扱うなど、そこそこの知名度があった記憶があります。 彼らの特徴的だったところは、本家PWKには設定がなかった「φ32やφ35といった大口径モデル」へと独自にモディファイしてラインナップを広げた点です。

 

これにより、大排気量の4ストローク車にも流用が可能になり、SR400や500のカスタムシーンなどで重宝されるようになりました

「CRキャブやFCRキャブを入れる予算はないけれど、パチモンPWKなら安価にビッグキャブ化できる」という層の需要に、見事に合致してしまったわけです。

 

こうしたノウハウが横展開され、「パクったものをさらにパクる」ような悪循環が広まった結果、現在では有象無象のメーカーが製造するようになりました。しかも驚くべきことに、昨今では鋳造の精度や塗装のクオリティ、さらには独自のブランディングまで施され、AmazonやWebikeといった大手ECサイトでも堂々と流通しています。

 

「特にWebikeなんかは、これらが結構グレーな製品だと承知の上で売っているんじゃなかろうか……」と邪推してしまうほどです。

 

苦手意識への挑戦と、泥沼のセッティング地獄

僕自身、そんなグレーなパーツに対して多少の後ろめたさはあったものの、最初から付いているものなら一度使ってみたい、という好奇心もありました。
加えて、250ccの単気筒エンジンで、一体どれほどのパワー感が得られるのかも知りたい。

 

あと全く個人的な裏テーマになるんですが、「キャブレターからの逃避を終わらせたい」という思いもありました。
これまでのバイクライフの中で、キャブ調整はどこか難解で取っ付きにくいという潜在的な苦手意識があり、そこに一度ちゃんと立ち向かってみたかったのです。ここで苦労して経験値を積めば、整備プライベーターとして一皮剥むけるんじゃなかろうか。そんな計算もありました。

 

セッティングパーツとして絶対に必要になるメインジェットスロージェットを調達し、腰を据えて煮詰めていこうと考えました。

・・・・しかし、これが本当の本当に、終わりのない苦戦の連続となるのです。

 

 

泥沼スタート!

前オーナーからは「ある程度セッティングは出ています」と言われていたものの、納車時は完全な直キャブ状態。
さすがにフィルターなしで街乗りするのは気持ち悪すぎたため、急ぎエアフィルターを購入して装着しました。

 

 

 

いざエンジンを回し始めてみると、始動こそすれど「ブブブッ……」とモタつくだけで全く上まで吹き上がらない。アイドリングより上に全然いかない。

燃調がめちゃくちゃに濃い状態で、プラグを抜くと案の定、真っ黒に煤けていました。

 

「さて、どうしたものか」

 

そう思い、メインジェットとスロージェットを、手持ちのパーツの中で一番番手の低い(薄い)ものに交換してみました。しかし、それでも濃すぎる症状は一切変わりません。プラグは真っ黒のまま。

これはセッティング以前の問題だ、と基礎に立ち返ることにしました。原因は「油面」です。

 

油面が出ない

フロートの金属アームを少しずつ曲げながら、適切なガソリンの油面を出そうと試みました。

しかし、これが驚くほど決まらない。ほんの少し曲げただけで、オーバーフローしてガソリンがドバドバ漏れるか、さもなくば燃料が全く供給されなくなるかの二択。針の穴を通すような、極めてピーキーで微細な調整を要求されたのです。

 

あまりにも目視での調整が困難だったため、中国のECサイト(AliExpress)を経由して、フロートチャンバー部分が半透明になっているカスタムパーツまで購入しました。

国内のAmazonや楽天で売られているものと同じですが、アリエクだと多少安く手に入ります(ただし、手元に届くまで2週間ほどかかりました

 

この半透明のクリアカバーのおかげで、外からガソリンの量がはっきりと見えるようになり、ようやく論理的な調整ができるはずでした。……が、それでも一向に正しい油面が出ません。 走らせてみても、ガソリンの供給が追いつかずに途中でガス欠のようにプスンとエンジンが止まったり、かと思えば被りすぎて時速30キロくらいしか出なくなったり。。。

 

全然セッティングが出ない

おまけに、これ以前の段階として「サビサビだった燃料タンクの交換」を行う前だったため、タンク内のゴミが回って燃料の供給自体が滞るなど、複数の要因が絡み合っていました。 この問題を解決しようと頑張っていた時期は、本当に心が折れそうでした。仕事のことも相まって、精神的にもしんどかったです。

 ちゃんとお金をかけて、最初からバイク屋さんでまともな中古車を買っていれば、確かに40~50万円くらいはしたかもしれない。けれど、さすがにそれは高すぎると思ってヤフオクに手を広げた結果。

多分1個1個トラブルシュートしていけば直りそうな感じはするんだけれど、日々の生活の中で、バイクに割ける時間は限られています。それなのに、やりたい気持ちと裏腹に前に進まない。
その焦りと気持ちの持っていき方には、本当に苦労した記憶があります。

 

「すべてを純正に戻す」という決断

 「もう、変な色気を出して社外キャブをいじるのはやめよう。一度、すべてを純正の姿に戻さなければダメだ」

心を奮い立たせ、このグラストラッカーを「普通に乗れるバイク」にするための、完全な作戦を組み立てました。
やらなければならないのは、以下の3つのパートをすべて同時に純正へリプレイスすることです。

 

  1. 吸気系統の純正戻し (幸い、段ボール箱の中に純正のエアクリーナーボックスが残っていました。こいつを掃除して組み込めば準備はOKです 【リンク】

  2. マフラーの純正戻し (付いていたスーパートラップを外し、純正マフラーへ戻します。これについては手元になかったため、中古市場から良品を探し出します 【リンク】

  3. キャブレターの純正交換 (ありがたいことに、こちらは前オーナーが取り外した純正キャブレターをそのまま同梱してくれていました。これをしっかりとOHして取り付けることにします)

バラバラになっていたパズルが、頭の中で一つにつながりました。 作戦は決まった。あとはもう、迷わず手を動かして次に進むだけです。

 

こいつらは捨て値で売却しました。黄色いのはスロットルワイヤーです。旧車乗りの方が購入されたようでした。

 

話が少し長くなってしまったので、パチモンPWKとの決別編はこの辺りで。
次回、いよいよグラストラッカーの心臓部に「純正キャブレター」を呼び戻す、本当の公道復帰作戦が始まります。

 

 

↓手に取ってみたい方は、覚悟を持って使ってください

 

↓グラストラッカーの整備記録をまとめたページ

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