一通りの整備が終わり、公道復帰してしばらくは順調だったグラストラッカー。
しかし、今回の公道復帰において最も手強かったトラブルである、「突然のエンジン不動トラブル」にたびたび見舞われました。
走行中や始動時に、何の予兆もなくブツンとエンジンが止まる電気的な不具合。サイドスタンドスイッチは無効化(記事へのリンク)しているためスタンドの開閉状態も関係なし。しれぶトラブル発生後にしばらく時間を置くと何事もなかったかのように復活する事もあり、原因の特定が非常に難しい状態でした。
解決に至るまでの経過を振り返ります。
第1段階:山道でのストールと「7極リレー」の影
最初のトラブルは、自宅から5分ほどの山道を越えたところで起きました。 完全にエンジンが沈黙し、結構な山道を押して帰る必要があるため、仕方なくJAFを要請。その待ち時間(約40分)に、スマホで配線図を調べたりAIに相談したりしてトラブルシューティングを試みました。
そこで分かったのが、スズキ車特有の「7極ウインカーリレー」の存在です。

レギュレーターの横についている、数字とアルファベットが刻印されている白ぼけた樹脂の箱がそれです。
一般的なバイクのウインカーリレーは2〜3極ですが、スズキのこの世代はリレーに多くの機能を持たせており、なんと7本も端子があります。
そしてその機能の1つに、「サイドスタンドスイッチの回路」が組み込まれていたのです。

リレーの裏蓋は分解できるようになっていて、内部の回路構造を多少見ることができました。ただ奥が樹脂埋めされている状態なので、何か明確な兆候をとらえることは難しそうでした。
でも、「ここの接触不良が怪しい」とにらみ、現場でリレーを抜き差ししたり叩いたりしてみました。

するとJAFの到着直後、奇跡的にエンジンが始動。
確証は持てないのですが、カプラーの接触不良か内部のハンダクラックが一時的に繋がったと推測されます。
来ていただいたJAFの方にお詫びとお礼を伝えて見送り、なんとか自走で帰宅しました。
第2段階:ICリレー交換と、自宅での再発
無事に帰宅後、対策としてキジマ製のスズキ用の「7極ICウインカーリレー(LED対応品)」を注文し、ポン付けで交換しました。
もともとこれはLEDウインカーなどを装着するときにハイフラッシャーになることを防止するためのパーツ。ただサイドスタンドスイッチなどの機能も純正代替品という事で当然持ち合わせており、そういう意味でもリプロパーツとして使えると判断しました。

簡単に交換完了。これで一安心、その後1〜2週間は絶好調でした。
しかし、次の洗礼が訪れます。 ある日出かけようとエンジンをかけようとした瞬間に、またしても不動状態に。。。
今回は自宅での再発だったため、出先で立ち往生しなかったのがせめてもの救いでした。今度もリレーの抜き差しや、接点復活剤の塗布を試みましたが、エンジンは一切かかりません。
ヒューズボックスを開けてみると、ヒューズに酸化被膜みたいなのががっちりついていて、新品に交換。
それで一回直ったんですが、また再発しました。原因の一つではあったと思うのですが、根本原因ではなさそう。
ヒューズがガッチガチに固着して、表面に酸化皮膜らしき物がガッツリ付いてた。
新品ヒューズを準備して、ベース側も接点回復剤でしこたま洗浄。安定して始動できているので、1つ懸念点は潰せたかと思います。 https://t.co/hJenG9uGWd pic.twitter.com/RFpiXvHrzO
— フジイミノル (@fujii_minoru) June 22, 2026
![]()
配線図を何度見ても、始動に関わるのはキー、セルスイッチ、サイドスタンド、そしてウインカーリレーのみ。
これ以上はカプラー内部の微細な不具合などが考えられ、自分ではお手上げと判断。
ここから先は、プロの力を借りることにしました。
プロの技:那須烏山市の「クローズ」さんへ
修理をお願いしたのは、栃木県那須烏山市にあるカスタムショップ「CROWS」さんです。
最近では往年の名車「メグロ」のレストア等でも有名ですが、もともとはチョッパーやカフェレーサーなどのカスタムを得意とする、非常に優秀で人気のあるショップです。
現在はカスタム業務が多忙で通常の修理は受けておられないそうなのですが、事情を話したところ快く引き受けてくださいました。本当に感謝しかありません。
動かないグラストラッカーをハイエースで引き取りに来てもらい、お店へ。すると、わずか1日で原因特定から修理まで完了して戻ってきました。
チョッパー屋さんの「引き算の美学」で回路をオミット
プロの見立てでも、やはりウインカーリレー周辺のハーネスが怪しいとのこと。
ただ、リレー単体が内部でどう壊れているかを正確に判別するのはプロでも難しいそうです。ひょっとしたら、メス側のカプラーの破損も考えられるとのことで、それを完全特定するのはなかなか骨が折れる作業だとの事でした。
今回の修理に際し、「配線加工をしてもらっても構わないので、安定的に始動する状態にしてほしい」という依頼をしていました。
そこでクローズさんが施してくれたのが、「CDIへ始動制御用のプラス電流を直接バイパスさせる」という対策でした。

参考画像 https://kanato3.com/?p=18052
エンジンが始動するためには、CDIに「スタンドが上がっている(=安全である)」というプラス電流の信号が届く必要があります。今回はその信号をウインカーリレーを経由させず、直接CDIに入力して回路を騙す(常時スタンドUP状態と認識させる)ような配線加工をしてもらいました。
無駄な配線や不要な安全センサーを削ぎ落とし、いかに車体をシンプルに仕上げるかを日常的に考えている「チョッパー屋さん」ならではの、見事な割り切りと技術だと感じました。
まとめ:トラブルは完全沈黙
この対策を施してもらって以降、あの突然死トラブルは一切再発していません。完全復活です。
文章にしてみると割かしさらっと解決したように感じますが、電気系統でのトラブルシュートは再発防止含めて非常に難儀しました。
トラブルが出たりでなかったりすると微妙な接触不良も視野に入れることになり、考えなければいけない事が多々出ます。パーツ交換したらなおると思っていたら再発してしまうと、やっぱり閉口してしまいますね。
旧車や長期不動車の電気屋敷のようなトラブルは、純正通りに直そうとしてもなかなか上手く行かず、泥沼にはまる事も多々あります。
今回はプロの「引き算のノウハウ」を応用してもらったおかげで、不安が解消されました。
頼れるショップとの繋がりに感謝しつつ、これでまた一歩、安心して走れるバイクに仕上がりました。
-
作業日:2026年6月
-
かかった費用:
キジマ製 ICウインカーリレー 4120円
新品ヒューズ 280円
CROWSさんの修理代金 トラブルシュートと作業工賃で 約2万円+配送料
↓グラストラッカーの整備記録をまとめたページ


コメントを残す