僕が再び「グラストラッカー」でバイクの世界に戻った理由

2025年1月、長年連れ添ったZ400LTDを売却しました。 15年という月日は長く、あのバイクでやりたいことは、正直に言ってもうやり尽くした感覚がありました。

専門店での購入から始まり、理想を追い求めたカスタム、当時物パーツの探索、電装系の近代化、そしてボアアップを伴うオーバーホール。イベントを主催して多くの仲間と出会い、ロングツーリングも重ねました。

僕にとってLTDは単なる乗り物ではなく、生活の一部であり、情熱の象徴でした。 けれど、いつしかその存在が少しずつ「重く」感じられるようになっていたのも事実です。

物理的な重量の話ではなく、気持ちの問題です。 冬場の始動性の悪さやバッテリーの不安。ボアアップしたとはいえ、どこかで物足りなさを感じ始めていたパワーへの渇望。そして何より、「維持するために乗らなければならない」という義務感。仕事の忙しさも重なり、当時の僕は「悩みや検討要素」を一つでも減らしたいと願っていました。あのタイミングで、今の自分にフィットしていないものを手放したい。可能であれば、LTDをもっと必要としている人の元へ届けたい。 そうして一旦、僕はバイクという趣味から距離を置くことにしました。

 

「またバイクに乗ったら?」という妻の言葉

バイクのない生活は、確かに「楽」でした。 けれど、どこか生活の輪郭がぼやけていくような、エネルギーが停滞しているような感覚がずっと拭えずにいました。つまらないともまた違う。車2台を快調に維持し続けるというタスクも僕にはあったものの、それだけでは自分が満たされていなかったようです。維持するといっても、車屋さんに作業をお願いしているばかりでしたからね。

そんな僕の背中を、意外な人物が押してくれました。
「またバイク乗ったら?」
妻からの、驚くほど真っ直ぐで直接的な提案でした。

彼女は僕よりも直感が鋭いところがあります。 僕が手を動かして機械をいじり、オイルやスラッジにまみれて「あーでもない、こーでもない」と活動していないと、良い方向にエネルギーが循環しないことを見抜いていたのでしょう。

最初は戸惑いました。
「降りたばかりで格好がつかない」
「金銭的な余裕もそこまであるわけじゃない」
けれど、滞留したままのこの気持ち、流れを動かすきっかけになるのなら、その言葉に乗ってみよう。

そう決めてからは早かった。

妻の助言からわずか2週間。 2025年9月、僕はヤフオクで一台のバイクを落札していました。 それが「スズキ・グラストラッカー」です。

 

不動と実働の間にある「1500km」の個体

格安で比較的手間がかからず、心軽く走り出すことができるお散歩バイク。そんな条件にグラストラッカーはうってつけでした。
僕が大学生だった2000年代後半ごろにはどこにでも走っていたこの種のバイク。その中でも、グラストラッカーはほかの車種と違ってスタイリッシュで、特にフロントマスクがかっこよく見えていました。

 

陸送業者さんから届いた現物は、2001年式にもかかわらず、走行距離わずか1500km。 しかし、長い年月眠っていたのでしょう。コンディションは「不動車と実働車のちょうど中間」といった具合でした。前オーナーはバイク屋さんから買ったとの事で、最低限の整備はしてありました。
ただ別記事で書く予定ですが、走る曲がる止まるに直結しない部分で要修理ポイントが多数ありました。

  • 山は十分残っているけれどひび割れまくっているリアタイヤ
  • 内部がぼろぼろに錆びているタンク
    • 中華製燃料コックはおまけで付けてもらっていたんですよね(苦笑)
  • 新車時から一度も交換されずOリングがはみ出しているチェーン
  • 左グリップ無し
  • 右後ろのウインカーレンズ無し
  • 全く調整されていない中華製レーシングキャブとスーパートラップマフラー

 

現車確認なしの通販購入。というか、なんで確認という手段が頭に浮かばなかったのか、正直不思議です。普通なら不安になるところですが、なぜか「まあ、なんとかなるだろう」という根拠のない確信がありました。15年間LTDと向き合ってきた時間が、僕に多少のトラブルでは動じない耐性を付けてくれていたのかもしれません。むしろそういったトラブルと垢落としの作業を、無意識のうちに(あるいは 心の奥底で)僕自身が求めていたのかもしれません。

案の定、まともに走るようになるまでには、それなりの時間と労力とお金が必要でした。同じヤフオクで買ったとしても、多少カスタムしてある3万㎞くらい走った車両を買う方がはるかに安く上がったと思います。

 

でも、その直す時間がたまらなく楽しかった。 「次はここを直そう」「どの順番で手を付けようか」「あの道具が必要だな」。 そんな思考のプロセスが、仕事でささくれ立った心に潤いを与えてくれました。

一つひとつ不具合を潰し、確実に問題ないと言える状態を積み上げていく。それは、自分自身の「整備値」が更新されていく安心感であり、「やり遂げた」という自分への確かな自信でもありました。日常のなかで少しずつすり減っていた自分の心が、この「自分の手で正解を導き出す作業」によって、ゆっくりと満たされ、癒やされていくのを感じていました。

乗り出すのには購入からさらに5か月程度かかり、今は当初の目的のお散歩を楽しんでいます。 古いバイクゆえの細かな整備項目は尽きませんが、基本が丈夫なグラストラッカーは、多少粗雑に扱っても懐深く受け入れてくれる気楽さがあります。春先になると、チョークを引かなくてもエンジンが始動するのには感動しました(笑)

 

アウトプットという「感情のコントロール」

今回バイクを買い直し、そしてこのブログを再開しようと思って気づいたことがあります。

僕にとってブログを書くという行為は、単なる記録ではありません。 頭の中にある思いを言語化して吐き出すことで、自分自身の感情を調整・コントロールしていたのだと思います。この3〜4年は、書く気力が尽きた感じで執筆からは離れていましたが、やはり「書くこと」も僕にとっては大切な循環の一部だったんだと思います。

グラストラッカーの整備記録は、ネット上に溢れています。 けれど、「長期間動いていなかったバイクを再び走らせるプロセス」を僕なりの視点でまとめることは、誰かの役に立つかもしれないし、何より僕自身の整理になります。

 

Z400LTDとの濃密な15年を経て、9か月間の休息。 そして手に入れた軽くて気楽な相棒。 今、ようやく人生の「良い落としどころ」に立てたような気がしています。

具体的な整備の内容や、かかった費用については、また別記事で詳しくまとめていきます。

 

結論から言えば、バイクを買って本当によかった。 僕の人生には、やっぱり少しの「油分」と「潤い」が必要なようです。

それでは、また。

6 件のコメント

  • おかえりなさ~い。
    いつか戻るだろうとは思っていましたけれども、予想外でした。
    もう何年も先だろうなーって。

    これからも楽しみにしていますね✋
    でも決して負担にならない範囲でね。

    • お久しぶりです。コメントありがとうございます。
      バイクとBlogと、いろんな楽しみを味わっています。
      無理ないペースで、できる限り淡々と書いていきたいですね。
      よろしくお願いいたします。

  • おかえりなさい!
    このブログは私のバイク黎明期とリンクしてるので個人的に復活はとても嬉しいです。
    無理のないペースで更新楽しみにしています。
    いつかまた朝走りなんかでもご一緒できたらと思います!

    • ありがとうございます。
      自分にとって発信して循環させていくのが大事だとはわかっていたのですが、ようやっと復活にこぎつけました。

      AIで色んな事が瞬時に分かり、なおかつそれに自分も凄くお世話になっているんですが、へたくそながら人間の気持ちが動いた瞬間を書いていきたいです。
      ぜひ朝走りもやっていきたいですね。自然に止まってから数年経過し、皆さんの状況もいろいろ変わっていると思いますし、ゆっくり話す機会も持ちたいです。
      これからもよろしくお願いします。

  • バイク乗り換えたんですね!!
    みのるくんのバイクブログを読むのは楽しみだったので、そちらも合わせて復活してくれて嬉しいです♩

    • お久しぶりです。ありがとうございます!
      不定期ですが更新していきたいと思いますので、是非よろしくお願いします!!

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