族ヘルとは その歴史と今買う方法

以前「旧車に似合うヘルメット」という内容で記事を書きました。

結構アクセスを集めてくれていてうれしい限りです。

 

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その中で、今回はいわゆる「族ヘル」に焦点を絞り、その歴史と現在買えるモデルについてまとめてみたいと思います。

この記事を読めば、もはや定番アイテムになってきた「族ヘル」についてかなりの知識を吸収し、最適なおしゃれヘルメット選択ができるようになると思います。

 

 

始まり

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おそらく始まりはアメリカのBELL STAR、ならびにBUCO RACERになります。

 

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1960年代中盤から70年代にかけて発売された、世界初のフルフェイスヘルメットです。

今ではビンテージフルフェイスなどと呼ばれています。

 

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それまではお椀型のハーフヘルメットや、BELL 500-TXに代表されるジェットヘルメットが主流。

そんな中、顔全体を覆って安全性能と防風性能を高めた、フルフェイスヘルメットが登場しました。

 

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今見れば宇宙飛行士のように見えなくもないですが、当時としては最先端だったんです。

一躍レースシーンや、ハイ・パフォーマンス・マシンを駆るライダーに受け入れられ、大人気となりました。

 

日本への伝播

そのブームは日本へも飛び火します。

国内のヘルメット市場で確固たる地位を築きつつあった、SHOEIやARAIも似たような形のヘルメットをリリースしました。

日本のみならず、海外にも多数輸出されたようです。

 

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特に似ているのが、70年代に発売された、SHOEIのS-12と呼ばれるシリーズ。

かなりそっくりです。今販売すれば、かなりの確率で怒られるんじゃないか?と思われるスタイル。

 

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左がBELL, 右がSHOEI

よくよく見ると、頭頂部の造形とか、サイドシェルの立ち上がり角度とかが微妙に違うので、まぁ別物として認識できなくもない。

とはいえ、「はい!」と見せられて「これはSHOEIだ!」と言い当てる自信は僕にはありません。

いずれにしろ、この手のヘルメットは日本でも大人気となり、数多くのライダーに愛用されることになります。

 

 

族ヘルの所以(ゆえん)

ここで族ヘルという言葉が出てくるんですが、その名の通り暴走族に愛用されたためです。

 

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聞くところによると、1980年代ごろの暴走族がよく使っていたようです。

 

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時代が80年代に進んでいくについて、フルフェイスヘルメットもだんだん進化してきました。

曇り止めのエアスクープが付いたり、エアロダイナミクスを徐々に検討したシャープな形状になるなど、基本形状に改善が入っていきます。

ですが暴走族の方々は、一世代前ともいえるこの手のヘルメットを好んでかぶっていたようなのですね。

 

  • スタイルが恰好良かった
  • 安価で出回っていた
  • 雑誌や漫画などのメディアに触発された

 

とかとか。他にもいろんな理由が考えられるでしょう。

 

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ただ、当時は空前のバイクブームで、「レーサーになりたい」と皆が心のどこかで思い描いていた時代。

速さを追求し、最新バイクと装備を追いかけていた時に、時代に逆行する装備を好むアウトサイダー集団は、ことメインストリームの人たちから見たら異質に映ったに違いありません。

そう言った背景から、80年代から90年代前半にかけて「族ヘル」という名称が、ある意味蔑称的なニュアンスを含めて定着したと考えられます。

ここまでが、いわゆる族ヘルの歴史です。

 

 

2019年現在

で、

2019年の今現在、このヘルメットに対する扱いはどうかと言うと、

 

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一部で評価が逆転しています。世界的な人気を博しているんです。

2016年頃にこの記事を書いたときから、そのトレンドは加速しているような気がしてなりません。

 

↓SHOEIもこんなヘルメットを販売するほどですからね。

SHOEI 新型オフロードメット EX-ZERO 発売日は11月!!

 

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昨今のレトロブーム、ネオクラシックの潮流を受け、旧いものをあえてチョイスするという「ライフスタイル」が広く受け入れられました。

そして70年代に流行した物を、現代風に再構築したアイテムというジャンルが、完全に一市場を構築しているのです。

その中でいわゆる族ヘルも、「レトロでスタイリッシュなヘルメット」として捉えられ、ファッションアイテムとしての地位を確固たるものにしています。

 

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国内では2000年代中盤から盛り上がりを続けている、Z1やCB750に代表される「旧車ブーム」に伴って、族ヘルの需要が徐々に高まっていました。

それに引っ張られる形で、70年代に販売されていた「当時物」のBELL STARやSHOEI S-12の価格がじわじわと上昇。

 

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8年ほど前には立花から、族ヘルを現代によみがえらせたパイオニアである「GT750」が発売され、人気が若いレトロテイストを好むライダーにも波及。

生産休止が発表されてからは、オークション市場で「定価の倍近い値段」で取引されるなど異常な盛り上がりを見せました。

今ではボロボロの当時物族ヘルでも、「リペア前提のベース」として、高値で取引される状態が続いています。

 

 

 

今新品で買える族ヘル

さて、族ヘルの歴史と現状を振り返ってきました。

ここからは、現在新品で購入できる品について記載します。

2018年現在、ブームの勢いが加速しているので、ラインナップがかなり豊富です。選んで購入できます。

 

 

復刻版 BELL STAR 2

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ブレーキホースなどで有名なACTIVEさんが、米国BELL社とライセンス契約を結び、国内の関連法規(SG/PSG)をクリアした商品です。

本家本元と言っていい族ヘルです。最も小ぶりでかっこいいです。

値段が一般的なフルフェイスヘルメット相当なだけあり、縫製などのクオリティは高かったです。

頭を入れる開口自体が相当に小さいようなので、試着をお勧めします。(立花のものと比較しても小さい気がします。)

 

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気になるのが、どうも通販で売ってないようなんですよね。量販店オンリーなのでしょうか?近所のライコランドには置いてあったんですが・・・。気になります。

 

 

山城 レトロフルフェイスシリーズ

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この4年ほどで勢いをつけてきている、山城さんす。

そちらがラインナップされている、ニューレトロフルフェイス。量販店でも売っていました。以前はレトロフルフェイスという名前だったのですが、NEWの名前が着いています。

手に取る機会があったんですが、以前のバージョンに比べて作り自体もだいぶ丁寧になっているようで、持った感じも他の族ヘルと比較しても幾分軽量でした。シールドも硬質タイプに変更されています。製造元は中国のようですね。

こぶりなので、サイズは一つ大きめがベターです。カスタムベースなどとして考えてもとてもいい選択だと思います。

 

山城(yamashiro) 山城 × KAMINARI バイク ヘルメット ニューレトロフルフェイス カミナリイエロー Lサイズ(59-60cm) YKH02K04

こんな感じで攻めたカラーリングのものも出てきました。売れてるみたいです。

一番勢いがあります。

 

NEO VINTAGE

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楽天市場などで販売されている品です。2015年に大阪で誕生したブランドとのこと。

フルフェイスとは思えないほど安価。14000円以下。これでSG/PSG規格を通っていることを強く打ち出しています。

多分上記の山城に近い商品ではないかと思います。海外で生産された製品で、大ロット生産して、なおかつネットでの無店舗販売。これを徹底しているため、この価格が実現していると考えられます。

 

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特筆すべきは、若干大きめのサイジングとのこと。

GT750やBELLが小さい小さいと一部で不評だったのを鑑みて、大きめに設定したのかもしれません。サイトでは内装パッドが着脱可能という記載があるので、インナースポンジを追加するなどして、ある程度調整がきくようにしたのでしょう。

族ヘル入門用というか、初めて手にするにはいい商品かもしれません。少なくとも、当時物のリペア品を手にするよりは、安全面での問題は遥かに低リスクでしょう。

口元にスリットが入ったタイプもあります。この辺は好みですね。

 

 

TT&CO. トゥーカッター

映画『MAD MAX』でも使用された、1970年代の BELL MOTOSTAR をイメージした、ヴィンテージモトクロスヘルメットとの融合。

東京江戸川にある、TT&COさんが制作されているヘルメットです。

日本人の頭の形状を検討して、3D設計にて試行錯誤を繰り返された、乗車用規格内では最小クラスのスモールフルフェイスだそうです。

帽体はSG規格とDOT規格に適合しております。

 

このような70年台テイスト満点なデザインがあったり、専用設計されたゴーグルが合ったりと、多彩なラインナップをされているのが魅力です。

 

 

 

 

BILTWELL

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先述のとおり、海外で人気を博しているヘルメット。

国内での公式販売はされていないようです。Amazonや楽天市場さんなどでちらほら販売されています。

 

関連画像

内装の作りが素晴らしいヘルメットです。

カラフルなダイヤモンドステッチが入っており、非常に拘りをもって設計されていることが伺えます。

 

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シンプソンなどのアメリカ製のヘルメットは、サイジングがSHOEIやARAIとかなり異なる印象があります。

ワンサイズ大きめを購入し、後でスポンジを入れて調整するなどの対応が必要かもです。

Biltwell ヘルメット Gringo S 19年 最新モデル フラットカラー

 

BELL Bullitt

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BELLが海外で展開しているフルフェイスヘルメット。

日本ではAmazonや楽天市場にて並行輸入品として買えます。

視界が広く、ジェットヘルメットからフルフェイスを使ってみたいなぁというユーザーさんにもすんなり移行できると思います。

 

インプレ読みますと、気密性が悪いとか、隙間風入ってきてうるさいとか、そういうコメントも散見されました。

まぁこの辺は前述の立花や山城ヘルメットの類と同じなので、ジェットヘルメットよりいくらかマシというレベルで考えたほうがイイでしょう。

BELL ベル 2018年 Bullitt Carbon ブリット カーボン ヘルメット Pierce ピアス

 

カラーリングも豊富です。たとえば単純な黒でも、かなりグロッシーな色合いでとても魅力的。

アメリカ人サイズなのか、こめかみの辺が狭いようです。

実際に使っているユーザーさんからのご指摘で、ワンサイズ上を購入することをおすすめします。

 

残念な点は、結構高いんですよね・・・これ。

かっこいいんですが5万円以上というのはチョット・・・。

 

族ヘルを使った感想

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自分は、すでに生産中止となっている立花のGT-750を購入しました。

 

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特徴的な造形に魅力を感じ、発売初期に購入。そして結婚を機に日本を代表するペインター MUNEさんに依頼して、緑のオリジナルペイントで塗ってもらっています(ペイントの記事)。

 

レトロ系のライダーさんからは、おおむね評価は高いです。年配の方からは、「これはBUCOレーサーかい??」とよく質問を受けます。

スポンジのホールド性もよく、顎ひもを締めればぐらつくこともありません。シールドの隙間が大きいため、風切り音などは最近のヘルメットに比べれば大きいです。音を気にする人にとってはマイナスかも。

ですが、自分としては非常に満足しています。

 

 

まとめ

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80年代にあまり嬉しくない俗称を付けられてしまった「族ヘル」ですが、自分はとてもスタイリッシュで魅力があると感じています。

周りから「暴走族かよ!!」等と言われることがあるかもしれませんが、もしこの造形が好きなのだったら、「ふざけんな(笑) 一回りして最先端だぞ!」と反駁してやってください(笑)

好きなものは好きとしてで、心置きなくかぶって楽しいモーターライフを送ってほしいですね。

 

以上になります。

 

 

2 件のコメント

  • 私がバイクに乗り始めたのが1982年、購入したヘルメットはアライのフルフェイスでした。族ヘルスタイルでしたよ。しかし、立派にスネル規格でした。
    旧車と呼ばれるバイクに現在のヘルメットは似合いませんね!
    安全性能が確保された族ヘルがあれば私も…
    です。

  • >たかさん
    当時の族ヘルでもSNELLに通っていたとは。
    驚きです。

    現在のフルフェイスだと、旧車に乗るには結構センシティブにならないと似合わないですよね。
    SNELL対応は微妙ですが、SGレベルだったら適合品も有ると思うので、量販店で手にとって見て下さいませ~。

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