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シン・ゴジラから見た、クリエイティビティ、表現欲求のお話

   

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先日シン・ゴジラを見てきました。

因みに僕は、昔からゴジラが好きで、VSデストロイアまではかなり真剣に追いかけていました。嫁は月に20本は映画を見る生粋の映画フリークで、中でも平成ゴジラシリーズは大好き。それを語る時の目の輝きは、まさに並々ならぬ物を感じます。

 

2014年のアメリカ版ゴジラを経て、12年ぶりに復活した日本版ゴジラ。

とくに大きなプロモーションをされていたわけではないのですが、映画好きの間では静かな期待と共に待ち望まれていた作品でした。

 

制作陣

  • エヴァンゲリオンを制作されて有名になった庵野監督がメガホンを取り、
  • エヴァの音楽を担当した鷺巣詩郎氏、
  • そして84ゴジラの撮影スタッフを経てエヴァシリーズに参加し、昨今では問題作「進撃の巨人」を監督された、庵野監督の盟友 樋口真嗣氏を特技監督

そんな90年代以降に活躍された、日本映画界のTOPを並べた布陣で撮影された本作。

 

私も期待はしていたものの、正直不安な面もかなり大きく、いろんなタイミングも相まって公開すぐには見に行くことができませんでした。

ですが、お盆休み前後で日増しに大きくなる絶賛の声と、

「見に行ってみようか」

という嫁の誘いを受けて、レイトショーで近くのシネコンに足を運びました。公開からほぼ3週間経過していました。

 

 


感想

 

良かったです。

 

本当に見に行ってよかった。

当初の予想を良い意味で裏切ってくれました。

あれはまぎれもなくゴジラ映画でした。そしてすばらしい特撮映画だったと感じます。

 

 

昨今の日本映画にはない、驚異的ともいえるテンポで進むストーリー。

CGと人形、車両に兵器、そして日本屈指の俳優陣が描き出す、迫力と緊迫感、そして絶望。

そして随所にちりばめられた、特撮を含めた映画ファンをにやりとさせる遊びと、本編では明言されなかった伏線やサイドストーリーを、色々と勝手に想起してしまう物語の深み。

 

ポスターにも描かれた、「現実(ニッポン)VS虚構(ゴジラ)」という構図の下で、政府がゴジラに対して立ち向かうかを、緻密かつリアリティ溢れる描写で、丁寧に描き切っていました。

 

 

あふれる感想

もうですね、述べたい事が頭の中から次々に溢れてきて、読める文章にするのが非常に難しいです。

映画レビュー的な観点については、専門とされている映画BLOG様やサイト様の分析の深さには、僕ごときが到底叶うはずがありません。なので今回はパスします。

色々脳内を整理して、一番強く感じたことに絞って、今回記事を書きたいと思います。

 

 

 

この映画を通して僕は、

「クリエイティブなものは、魂がこもっていないとダメなんだな」

そしてシン・ゴジラは、

「庵野監督が描きたいものを、そのまま描いた作品だったんだなぁ」

ということを強く感じました。

 

 

「映画なんて、そもそもそんなもんだろう」

と思われるかもしれませんが、もう映画は監督や脚本家が描きたいものを作れる舞台では、なくなってしまっています。

これは日本映画も、ハリウッドもしかりです。

 

 

近年の映画製作の状況

映画を作るには莫大な予算がかかります。今回のシン・ゴジラは30億円(東宝史上最高クラス)だったそうですが、海外に目を向けたらそんなものではなく、数百億円オーダーの製作費が飛んでいく風景はざらです。

もちろんその製作費を出資してくれる人がいるから成り立つわけですが、1960~80年代初頭のような

「これだけあげるから好きに作りなさい。大ヒットして儲かったらその分返してくれたまえ」

といった、タニマチ・パトロン的な「ごっつあん体質」はもうすでに消えてしまっています。

 

もう20年くらい前から、映画も完全な「投資対象」になっているんです。

なので「売れる映画を作りなさい」「投資資金を回収できるよう、利回りをよくしなさい」というのが至上命題になっているのですね。

だから、出資者(スポンサー)が脚本や演出・出演者にえらく口を出すし、観客動員を伸ばすようなマーケティング手法を使わせたりしています。

 

例えば

  • 観客をくぎ付けにするために、開幕20秒以内に人を殺せ
  • 主人公と、敵対する組織の人間との間での恋愛要素を入れろ
  • 売出し中のアイドルを配役しろ
  • (主人公の動機づけとなる大事な要素であっても)スポンサーが扱う商品に変えろ
  • 前編/後編にわけて入場料を2倍取れ

みたいな手法ですね。

 

お金出してもらっているわけなので無下にするわけにもいかず、みんなが納得するように調整に調整に調整を重ねて、出来上がった作品はどうみてもクソゲーだったでござる。

ということが昨今の映画業界の日常。そうなってしまっています。日本も世界でも。

そんなわけで、映画って投資対象としての魅力が薄れてきているのも事実で、大作映画ってヒットした作品の続編や、過去の作品のリメイク、人気が出た漫画や小説の原作物しか作られなくなっているんです。独自脚本の作品は当たるかわからないから。

 

2016年の映画業界で、独自の資本でやりたいように大規模映画を作っているのは、ピクサーだけではないかと言われています。2009年位から聞こえていましたが。

そんな状況なんです。

 

 

 

庵野は違った。

そんな中、庵野監督は東宝やスポンサーからの要求を断り続けたようなのです。

  • 「恋愛要素を入れよう」 ⇒ 「いやです」
  • 「人間ドラマを入れよう」 ⇒ 「入れません」
  • 「もっとゴジラが人を殺すシーンを明確に」 ⇒ 「不要です」
  • 「ゴジラの造形はこんな感じで」 ⇒ 「お断りします」
  • 「脚本のボリュームが多すぎて3時間超えるよ」 ⇒ 「削りません。早口でしゃべらせるから大丈夫です

てな感じでばっさばっさと切り捨てて、自分の作りたい作品にまとめて行ったとのこと。

 

根負けしたのか、監督が説得したのか知りませんが、「もういいよ・・・」ってなったそうなのですが、蓋を開けたらご覧のとおりの大ヒットなのです。

 

ちなみに事前の評論家に向けた上映会では、前述の要素が入っていないからということで、「これは売れないね」と評価した方もいたとのこと。(参考まとめ)

 

 

マーケティングを超えた力

念のため書きますが、僕はマーケティング手法を「批判」するつもりはありません。

実際にあったこれまでの成功例や、人間の心理に基づいた、こう返せばこう動くといったセオリーの集大成がマーケティングです。いわば過去の事例集。だからこそ、取り入れたほうがいいもの・事はたくさんあると思います。

 

ですが、全く新しいもの・未来を作り出す時や、庵野監督のような莫大な知識と想像力を持ち合わせた「表現欲求の塊」みたいな人には、当てはまらないセオリーなのかもしれないなぁと思うのです。

 

作りたいものを、とことん作りこむ

作品をご覧になった人は共感していただけるかと思うのですが、政府の対応や、自衛隊の迎撃作戦は、どのような手順で行われるかという事を「緻密にシミュレートされている」のがビンビンに伝わってきました。

政府内の会議の様子が序盤に何度も描かれるんですが、会議の雰囲気・緊迫感から、官僚の方から生きた情報をかき集めて作ったのだなと、強く感じました。

 

 

また公式パンフレットの自衛隊の広報担当の人のインタビューでは、

  • 監督は、ものすごく緻密な作戦計画書を持参されていた。
  • 「実際にゴジラが現れた場合、自衛隊はどのように対処するのか」「ゴジラに対して武器の使用が認められるのか」といった質問が続いた。
  • 作りがリアル過ぎて迂闊に助言すると省の公式手順ととられかねず、言葉を慎重に選んだ。

という話が載っていました。ある種病的ともいえるレベル。これを大衆向け映画でやるかと。。

徹底的なリアリティ(≒リアル)の追及。隙が無い映像と脚本が続き、2時間半引き込まれ続けていました。

 

 

精神的支柱の力

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このチラシは、道路封鎖を伴った大規模撮影が行われた際、庵野監督からのメッセージとして配布されたものです。

元となったツイッターの投稿

 

 

役者や製作スタッフの方は、このような熱意を持った監督が製作総指揮を執り、実際にぶれない姿勢を示し続ける中で仕事をされたのでしょう。

もちろん大変なことも多かったでしょうが、信念を軸として仕事ができただろうなぁと思いました。しかもその信念の源は、監督が他の人から与えられた借り物の思想や言葉ではなく、自ら湧き出る想いやエネルギー。

 

「これってものすごく大事なことだよな・・・」

自分の仕事を重ねながら、そんなことを感じました。

 

リーダーと現場、調整役、全てが一つのベクトルに向かって突き進むとき、チームはすごい力を発揮します。クリア不可能と思われた困難も克服できます。

今作はそのような要素がストーリーの軸として描かれていましたが、映画作成チームも同じような心境だったのだろうなぁと思うのです。

 

 

まとめ

周囲の雑音に目もくれず、自分の作りたいもの、やりたいことを貫き通して作られたもの。

それがもたらすエネルギーを、全身で浴びた気がします。見ていて何回か泣きそうになるシーンが有りました。

こんなパワーが溢れて心が震える、日本で作られた映画に出会えるとは思っていませんでした。

 

 

 

自分もやりたいこと、好きなことを信じて、力を注いでいこう。

そして表現したいものを、素直に表現していこう

そんな感情を抱くことができました。

 

製作に携わったすべての方に感謝したいと思います。作ってくれてありがとう。

 

まだまだ言いたいことは尽きないのですが、この辺で。

以上です。

 

 

 

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