パイオニアラン2015 2つの出逢い編

 

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前回と前々回は、会場のバイクについて書きました。 どれも素晴らしい車両ばかりでした。

今回の記事は、自分にとってとても印象深い出会いになった出来事を、 2つ取り上げたいと思います。

 

●Y田さんとの再会

会場で自分が発動機がくるくると回っている様を眺めていたら、 同行していたF川さんが誰かと親しげに話していました。

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以前一度だけ、 ハロルズギア宇都宮のツーリングで一緒になったY田さんでした。 (当時の記事

 

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当時SR400のカフェレーサーに乗っていた、ものすんごいイケメンさん。

あのツーリングが震災後だったので、ざっくり四年ぶりの再会でした。 お洒落な出で立ちとオーラはまったく変わらず。 むしろ年を経て、渋さが加味されていらっしゃるなぁ、という印象を覚えました。 僕らより先に会場入りされていたようで、LTDとバジャジが駐車場をうろついていた時点で、 「彼らがやってきた!!」 という感じで目をつけてくれていたとの事。 嬉しいような恥ずかしいような(笑)

 

●THE スモールカー

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そんなY田さんは、こんな車で会場にいらしていました。

 

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スバルのR-2。360cc時代の車です。

 

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スバル360がリアエンジン・リアドライブのRR構造を採用していて、 その2代目ということでR2と命名されたこの車。1970年前後に生産された車両です。

 

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GLというグレード。このエンブレムもいちいちかっこいい。 こういう線対称なアールデコ風なエンブレムとかが似合ってしまうから、 この時代の車はすごいと思います。

 

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小さな小さな車ですが、一応大人二人と子供2人くらいは乗れそう。

これで通勤とか普段使いに使っているそうです。 エアコンレス。

2ストエンジンは非力は非力だけど、田舎道を走るには十分で、燃費は14km/L位はコンスタントに出してくれるとのこと。

 

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リアエンジン。2ストローク2気筒のものすごい小型なエンジン。

エアクリーナーボックスのほうが大きいんじゃなかろうか?というようなエンジンです。 エンジンルームの右側に取り付けられた、赤っぽいオイルタンクが2スト感を醸し出します。 思った以上にスペースがあるので、 これ400ccくらいの4発とか乗っけたら面白そうだなぁ、なんて思ってしまいました。 すごい走りづらいかもしれないけれどw

 

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ウロウロしていたら、お兄さんのスバル360も止まっていました。 こちらのほうが輪にかけて小さいです。

F川さんはこの小さな車たちを痛く気に入ったようで、 「これ全然有りだなぁ」と買う気まんまんでした。 しばらくしたら、こういう小型車両で色んな所に乗り付けてくるかも知れません。

 

●ガチトーク勃発

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F川さんとY田さんは持ち物や趣味の話で、かなり盛り上がっていました。

バイクの話からカメラの話、懐中時計の話、コーヒーの話。バジャジの色が「ビアンキカラー」という話になってから自転車の話と、 どんどん際限なく広がっていました。

F川さんからしてみたら、こだわりを持った凄く面白い人だ!といって引き出しをどんどん開けていく感じ。Y田目線で見たら、自分の趣味のことをここまで深く聞いてくれる人は初めてだ!という喜びから相当饒舌になっていました。需要と供給が完璧にマッチした状態です。 最後はF川さんがY田さんのことを「師匠」と呼んでいました。

こんなに濃くてこだわりが強いんだったら、 アンティークスカフェに行ったら神様扱いされますよ。」なんて話をした所、 「東京は苦手なんだよ~。人混みよりも自然を求めちゃって…」 なんて話をしているY田さん。

今年の目標として、 Y田さんをアンティークスカフェと TRカンパニー、あとクールビーンズブックスあたりにも連れて行きたいと思いました。一つ目標ができた。

 

●スーパーエストレヤとの再会

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僕が勝手にそう呼んでるんですが、 おそらく日本で最もカスタムされているエストレヤと再開することが出来ました。 初めて見かけたのが2011年のパイオニアランでした。

 

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この車両です。 この後4年間パイオニアランが開催され、車両を見かけたりすることはあったんですが、直接会ってお話する機会がなかったんです。今年のパイオニアランで、念願かなってオーナーさんとお話することが出来ました。

というかこの車両の素性を聞いてみたかった。 上記の写真の段階でも十分すごいんですが、 2015年モデルは、ここからさらに進化していました。

 

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まずとんでもないのがこのエンジン。

このエンジンは350cc以上にボアアップされています。ピストンはスズキのRM系のレーサーのピストンを使用。圧縮比を9.5くらいに落として、エンジンには極力負荷をかからないようにしたそうです。

そしてフライホイールをより重くするために、クランクケースカバーにカバーと同じ形のスペーサーをかませてオフセットして、フライホイールを肉厚にしているとのことでした。そのため引っ張っても最高速は伸びないけど、出だしの加速感はかなりのものだそう。 いっぱい生えているのが、OIL潤滑用のホースです。 これ見るたびに増えているような…。

 

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増加した熱量をクリアするため、オイルクーラーを増設。ただそのままではヘッド側にOILが回らないため、エンジンの下に電動モーターを取り付けて、ヘッド側にオイルを回す様に細工されていました。

 

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キャブレターはなんとアマルのキャブを2丁掛け。 マニホールドはアルミの削り出しです。

 

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前後のタイヤもバリオス用に交換。スイングアームもバリオス用とのこと。 かなりロングスイングアーム状態になるため、サスペンションの車体側の付け根も鉄板を入れて補強し、別のところにマウント出来るようにしたそうです。

 

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タンクは、トーハツの旧いタンクをカットして溶接したもの。

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とても小ぶりなヘッドライトは、これもトーハツのヘッドライト。

ただそのままでは暗すぎるため、LEDヘッドライトに中身を入れ替えているそうです。 ヘッドライトの下に並んでいる3連の教習所バイクのようなライトは、万が一ヘッドライトが球切れしてしまった時の予備パーツ。実際に一度切れた事があるらしく、予防策として取り付けているそうでした。

 

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ホイールを取り外したためメーターギアが合わなくなったので、フロントスプロケットから速度を検知できるように、NSR用のセンサーを装着。

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段付きシートは国産アメリカンバイク用かな?とおもっていたら、ロイヤルエンフィールド用でした。

 

とまぁ自分が覚えているだけでも、出るわ出るわの重改造。

何よりすごいのが、このカスタムをご自身でDIYされているということなんです。 金属加工を生業にされているようなので、マニホールドやクランクケースカバーの改造は、ご自身が切削加工して作られたとのこと。流石の一言に付きます。

 

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「エストレヤのエンジンカスタムって、どこにも情報がないんです。だから自分で試行錯誤しました」

「普段使いの通勤にも使うので、ゼッタイに壊せないという制約のもと、色々試しています」

という話を聞くことが出来ました。

通勤で使われているから、キャリアやバッグが付いていたり、レッグシールドが付いているんですね。重厚なツアラーかとおもいきや、旅も出来る通勤快速ってとこでしょうか。情報がないから、自分でやってみようという姿勢を貫いていらっしゃるのが、単純に凄い。 詳細な話が聞けて、本当に良かったです。

 

●二人の出会いから感じたこと 

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今回二人と出会っていろんなことを感じました。

とくに今回はじめてお話出来たエストレヤのオーナーさんからは、自分が最近失いかけていた、「バイクをカスタムする心」「自分でやってみよう」という2つの心を奮い立たせてもらいました。

 

ラシーンを修理したりして「自分でやってみる精神」はキープしてきたのですが、現状を打破して更に面白くするための「カスタム」という気持ちは、すっかりすり減っていました。 特に最近は、色んなメディアでプロやハイアマチュアの方がたくさん情報発信しているので、 完璧に仕上げないと恥ずかしい、という気持ちがどこかにあったような気がします。

あのエストレヤは、良い意味での自己満足の塊で、唯一無二のオーラを発していました。やりたいことをやるんだ!という乗りで、「なんだ、ここまでやっていいんだな」というブレイクスルーを見たような気がしました。 荒削りな中に見える試行錯誤みたいなのが、ものすごく面白く、かつ魅力的に見えたんです。

 

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自分が好きで乗っているものを、とことん自分の理想の状態に持っていく。 好きなもので身を固めていくという事って、やっぱり幸せなんだろうなぁと再認識することが出来ました。

今回のパイオニアランは、本当に実りが多いものになりました。 来年も叉行きたいです。 長々と書きましたが、以上です。

 

 

●全体の感想はこちら

●車両まとめその1はこちら

●車両まとめその2はこちら

 

 

2 件のコメント

  • こんにちは。
    先日はありがとうございました。
    エスト乗りの者です。
    HP拝見させて頂きました。
    ずいぶんお褒め頂き恐縮ですw
    コメントにも書いてある通り、完全に自分好みに仕上げてます。
    でも一応コンセプトは「実用性」です。
    本当はメグロやエンフィールドのような、旧車に乗りたいんですが、通勤を考えると。。。
    エンジンは以前は350ccオーバーでしたが、以前にパイオニアランに参加した翌日に、エンジンブローしまして、今はRMのピストンを使い、今は340ccの圧縮は約6.5~7.0ぐらいに仕上げてます。
    これに3.5キロのウェイトをフライホイールに乗っけ、ヘビーフライにしてます。
    エンジンコンセプトは、パイオニアランに集まる車両のように、「大排気量、低圧縮、ロングストローク」です。
    スィングアームはバリオスですが、
    ホイールは80年代ドカティの、F1純正です。
    パイオニアランに参加するには、少々場違い車両ですけどw
    またイベント等、どこかでお会いすると思いますので、よろしくお願いします。

  • ⇒ぶーにゃんさん
    コメント頂きありがとうございました。
    直接お話することができて、とても嬉しかったです。
    確かに実用性、というコンセプトは頷けます。
    「通勤」というターゲットにおいて、
    積載装備と風防による快適性UPと、排気量拡大とトルク重視のエンジンチューンで、街乗りをしやすくする。
    ひとつひとつのパーツが実用性という点に帰結しているのが、とても面白いです。
    ホイール間違えました、ごめんなさい。
    訂正しておきますね。
    しかし新旧の日本、印度、伊太利亜の車両をよくぞここまで…。
    何度見てもものすごい車両ですね。

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